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『ローマのスケッチ散歩』 - 鈴木奈月の絵画紀行
 

 15 marzo  2015

 第6回 
『現代アート美術館MACRO FUTURE TESTACCIO』
絵と文  鈴木奈月



テスタッチョといえばローマの台所といわれ、ローマの下町風情が残っている地区。典型的なローマの郷土料理をだすレストランがいろいろある。
ひさしぶりにここを訪れたのは、この冬、10歳になる息子がアイススケートをしたいといいだしたので、私たちの住んでいるオスティアから一番近いスケート場はどこかしら、と友人に聞いてみたところ、テスタッチョに即席野外アイススケート場があるらしいということで、一緒に行ってみることにした。

その日はものすごく寒い日で、みな家に閉じこもっているのか、やっと住所を探し当ててたどり着いても、閑散として誰も折らず入り口もなんかヘン。ただ『MACRO FUTURE』と書いてあるだけだ。いったいどういう意味?
ここだと思うんだけど、という友人と半信半疑で入ってみると、なんとそこは、元屠殺場&精肉所だった! 屠殺場とはまったく思えない、ずいぶん華奢な入り口だったじゃないか。

で、一歩入ると摩訶不思議な風景が目に飛び込んできた。恐ろしく高い火の見やぐらのようなもので、近づいてよく見ると、竹だった。何千本もの竹が組み合わされて上へ上へと伸びており、内部には小さな通路までできている。これって現代アート? ピンポ?ン、正解!

帰ってから調べてみると、この元屠殺場は今世紀に入ってから、コンテンポラリーアートミュージアムにリノベーションされていたのだ。その名が『MACRO FUTURE』。とまあこういうことで、現在ここは美術館で、そのなかで冬の一定期間だけ子ども向けのエキシビジョンが開催されて、敷地内の一角に即席ステート場が作られたというわけだ。

リノベーションもいいけれど、でも、この広大な敷地内にあるいくつもの建物が超不気味。建物自体は情緒ある昔の工場という感じで、とにかくキレイに修復されているのだが、外回りの上部にぐるりと張り巡らされた、物々しいモノレールの線路のようなものがあって、各建物の入り口から入り口へと繋がれている。

「屠殺された家畜をここにぶらさげて、移動させていたのよ、きっと。ほら、よく見ると大きなホックが何個もぶるさがってるじゃない?」と、友人。ゲゲッ!ホントだ!あ、あ、あそこに皮をはがされた牛とか豚とかがぶるさがっていて、建物から建物の間をゆうらゆうらと移動していたんだろうか。

子供たちはアイススケートを思う存分楽しんだが、私としては、なんだか家畜たちの幽霊に囲まれているような気分だった。



著者プロフィール
鈴木奈月 (Suzuki Natsuki) イラストレーター、エッセイスト
89年渡伊。フィレンツェ、ミラノ、カタンザーロに暮らし、現在はローマ郊外オスティア在住。イラスト&暮らしのエッセーを、本やウエブサイトに掲載する。昨年からは、ナイーヴ系イラストレーションをローマ市内のギャラリーなどで発表し、活動の場を広げている。
Natsuki Suzuki web site: www.natsuki.deseptis.com
blog: http://peperoni.exblog.jp

主な書籍
「南イタリアお料理歳時記 マンマの味12か月」(NHK出版)
「イタリア・小さな街物語」(JTB出版)
「イタリア・パスタおいしい物語」(東京書籍)他多数

近年の主な活動
2011年4月 日本橋三越イタリアフェアー 出展
2011年4月 日伊文化交流サロン「アッティコ」パスクワのお料理教室
2011年8月 『PREMIO MASSIMO DI SOMMA』マッシモ ディ ソンマ賞 入選
2011年9月 GALLERIA DEGAS mostra collettiva
2011年10月 GALLERIA SAMAN mostra collettiva 『 IL COLORE DELL’ACQUA』


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