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小都市を訪ねる旅  驚きと不思議の土地、プーリア

15 luglio 2006

第2回
プーリアの夏が躍る。
〜太陽と海とピッツィカPizzicaと〜






木下やよい

プーリアは今、夏の真っ盛り。この地で過ごす夏は、格別の趣きがあります。
何といっても、いちだんと輝きを増す太陽が素晴らしい。地中海地方特有の白い家並みは、降り注ぐ陽光を浴びて影を際立たせ、鮮明なコントラストで風景を彩ります。

プーリアを両側から取り囲むアドリア海とイオニア海の、二つの澄みきった美しい海も魅力です。アドリア海側には岩場や断崖の多いリアス式海岸が、イオニア海側には白い砂地の海岸が横たわり、全体で八百キロにも及ぶ海岸線には、イタリア国内でも屈指の海水浴場が点在しているのです。全国各地からは、プーリアの海でヴァカンスを楽しもうと、たくさんの人々が引きも切らずにやって来ます。

地元の人たちも、馴染みの海水浴場に頻繁に通います。
「紫外線の怖さは知っていても、かっこよく日焼けする方が大切」とプーリアの人たちが口を揃えて言うように、海では、皆、泳ぐよりも甲羅干しに熱心です。
彼らの海への愛着には並々ならぬものがあって、仕事の日でも、長い昼休みを利用して近くの海へと車を走らせます。海と至近距離の場所にセカンドハウスを持ち、夏の間はそこに引っ越して暮らすという人たちも少なくありません。若い友人たちは、9月を過ぎて10月、11月になっても暖かい日には当然のように海へひと泳ぎしに行きます。

プーリアの夏を何度か過ごして、昼寝は理にかなったものであることも実感しました。日差しがもっとも強まる昼食後の時間帯は、外で動き回って体力を消耗するよりも、涼しい石づくりの家の中で、夕方から幕が開く第二部に備えて英気を養うのが賢明でしょう。プーリアの夏の夜は、長く、さまざまなお楽しみが目白押しなのですから。

 

●ピッツィカに酔いしれる夏
そういったお楽しみの中には、プーリアの各町が、6月から9月頃にかけて独自に企画して開催する盛り沢山のイベントもあります。外出好きのプーリアの人々は、そんな祭りの華やいだ空気に誘われて、今日はこの町、明日はあの町のイベントへと、家族や友人たちを伴って出かけていくのです。町のメインとなる広場に特設ステージが設けられ、そこで全国的に有名な歌手によるライヴが催されることもあるので、見逃すことはできません。
友人同士が集まって楽しむパーティーも、夏はより頻度を増し、皆で食べたりおしゃべりをしたりしながら夜中過ぎまで楽しむこともしょっちゅうです。

お祭り気分が最高に盛り上がるのは、やはり8月です。この時期、特にプーリアの南方に位置するサレントSalento地方を旅すると、「ピッツィカ」と呼ばれるサレントの伝統の大衆音楽と踊りが、毎夜のように地元の人々によって楽しまれているのを目にすることができます。
タンブリンの激しいリズムやアコーディオンの異国的なメロディーの伴奏にのって繰り広げられるピッツィカには、何か抗い難い"魔力"のようなものが潜んでいるのでしょうか。聴いているだけで体と気持ちがざわざわと騒いできて、じっとしていられなくなり、知らず知らずに踊りの輪に引き込まれてしまいます。

ピッツィカの不思議な魅力は、90年代に入って口から口へと自然に伝わっていきました。そしてそれは、サレントからプーリアじゅうに広がり、さらにはイタリア各地の大都市や海外にまで飛び火して、現在では一つの流行現象まで巻き起こしています。
毎年8月には、サレントの多くの町でピッツィカが演奏され、皆で踊る「タランタの夜」La Notte della Tarantaというフェスティバルが中旬から下旬にかけて催されます。
そのフェスティバルの最終日には、例年5万人もの観客を動員する大コンサートが、メルピニャーノMelpignanoという小さな町で行われ、ピッツィカに酔いしれる人々の熱気と興奮は夜明けまで途切れることなく続くのです。

●夏の美味
最後にもう一つ、プーリアの夏のおいしさについても触れないわけにはいきません。
プーリアは四季を通して農産物に恵まれた土地ですが、夏といえば、あの太陽を全身に浴びて真っ赤に熟したトマトがまさに旬の味わいで、季節を代表する食材と言えるでしょう。この地方の名物であるオレッキエッティOrecchiettiという耳たぶ型パスタに、このトマトソースをかけ、そこに特産のチーズであるカチョリコッタCacioricottaをたっぷりかけていただく一皿は、非常にシンプルな料理ですが、本当においしい。

青果物も豊かです。市場に行けば、そのまま洗って即食べられる種類の野菜が、畑から採れたてのみずみずしさでずらりと並んでいます。果物も、黄桃やぶどうからフィーキ・デ・インディアFichi d'India (ヒラウチワサボテン)の甘い実まで、夏ならではの顔ぶれが揃い、食事の最後を満足感をもってしめくくってくれます。

プーリアの人々は、また新鮮なイカやタコ、貝などを、私たち日本人のように生でも食したりしますが、知人の娘の5歳になるフランチェスカが父親と海で泳いでいる際に、小さなタコを見つけ、ガブリとかじりついたのには正直びっくりしました。

写真説明
トップ:アドリア海沿岸の町、ポリニャーノ・ア・マーレPolignano a Mareの、自然の岩場を利用した海水浴場。
本文中左:知人に招かれた8月15日(聖母被昇天の祝日)のパーティーで。プールのある知人宅に、50人ほどの仲間たちが集まってきた。
本文中右:コリリアーノ・ドートラントCorigliano d'Otrantoというサレントの町でアグリツーリズモ(農家民宿)を営むロッコさんとそのお父さん。親子でピッツィカを演奏する。


データ
Dati

★プーリアの海水浴場
イタリア環境連盟「レガンビエンテ」が全国の海水浴場をランク付けする本『グイダ・ブルー』において、サレントにあるオートラント近郊の海をはじめプーリアの海が美しい海の上位に常にランクされている。

★フェスティバル「タランタの夜」
【問い合わせ】
Azienda di Promozione Turistica di Lecce
Via Monte S.Michere20
Tel: 0832-314117
Fax:0832-310238
e-mail:aptlecce@pugliturismo.com



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著者プロフィール
木下やよい
フリーライター。コピーライター、編集者として長年働いた後に、イタリアに語学留学をする。心惹かれた南イタリアのプーリアとその周辺を訪れ、地元の人々の中に飛び込んで取材や撮影をして回り、『南イタリア・プーリアへの旅』(小学館 ショトルトラベルシリーズ)を著した。

『南イタリア・プーリアへの旅』
発行:小学館  著者:木下やよい
発行日:2006年3月22日 ページ数:168ページ
価格:1785円(税込)

〜プーリアの地から溢れ出る魅力を写真と文で〜
びっくり箱を開けたように、尽きない驚きと魅力がたっぷりと詰まっているプーリア。一度訪れて、この地にすっかりほれ込んだ木下やよいさんは、ついにそこに住むことを決意しました。プーリアを歩き回り、土地の人と語り、その感動を文と写真で綴りました。突き抜けるような青い空、吸い込まれそうな青い海、迷い込んで出られなくなりそうな白い町並み、素朴な人々との交流、そればかりでなく、その背景にある歴史や現実にまで踏み込み、プーリアという土地の真実に迫ります。


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