マテーラMateraにおける17世紀建築の中で、最もすぐれたものの一つに数えられるパラッツォ・ランフランキPalazzo Lanfranchiは、司教ヴィンチェンツォ・ランフランキVincenzo Lanfranchiの発意により、司教区の神学校として、修道士フランチェスコ・ダ・コペルティーノFrancesco da Copertinoの設計で、サンタ・マリア・デリ・アルメーニSanta Maria degli Armeni地区の旧カルメル会修道院があった場所に建設された。1668年に着工され、1672年8月31日に落成した。当初の建築は、リドラ通りvia Ridolaに面した堂々たるファサードと、回廊およびその周囲の諸室のほか、この建物にすっかり組み込まれたカルミネ教会Chiesa del Carmineからなっていた。1776年に大司教ズニカZunicaはカザルヌオーヴォ通りvia Casalnuovoに面した1棟の建物を増築し、さらに1853年にディ・マッコDi Macco猊下が現在見られるその他の建築物を付け足した。1864年、統一法の施行により神学校は廃止され、「エマヌエーレ・ドゥーニEmanuele Duni」文科高等学校となった。1980年から1998年まで、パラッツォ・ランフランキにはバジリカータ州美術歴史文化財保護局が置かれ、2003年以来バジリカータ州国立中世・近代美術館となっている。
18世紀の主要道路であったリドラ通りの端にあり、魅力あふれるサッソ・カヴェオーゾSasso Caveosoの凝灰岩の凹地に直接面しているパラッツォ・ランフランキの立地は、平地の近代都市とユネスコの文化遺産に指定されているリオーニ・サッシRioni Sassi[洞窟住居地区]との間の接点となっている。壁画にあふれ、歴史の重みをもつ貴重な洞窟教会とともに、ムルジアMurgia[岸壁]の無類の景観がその背景となっている。この、いわば露天の美術館は、さまざまな感覚や印象の延長のように、館内の諸室に、絵画や美術品の収められた美術館の中に入り込んでいる―それは、多様な文化価値の一種の相互作用あるいは交流といえるだろう。
回廊の周囲に沿って、地階には専門図書室、写真資料室、スライド資料室からなる資料センターをはじめ、近い将来、受付やブックショップ、喫茶コーナーが設けられることになっている複数の広い部屋、そしてカルロ・レーヴィCarlo Leviの名が冠せられた大広間がある。ここでは、文化財保護局や市当局、および「カルロ・レーヴィ」協会―その本部は美術館に隣接している―が開催あるいは後援する文化的催しや展覧会が開かれる。
広々とした二階の空間は、周囲の壁や隔壁に設けられた通路で結ばれており、美術品の展示に充てられている。マテーラの文化財保護局はカルロ・レーヴィ財団所有の同画家のまとまった数の絵画作品を使用貸借しており、また「カルロ・レーヴィ」協会から委託された同画家の版画コレクションも保管している。そのほか、サン・ジェルヴァージオ館Palazzo San Gervasioの「カミッロ・デリコCamillo D’Errico」財団法人が所有するデリコ・コレクション、および州の教区に由来する多数の宗教美術品も保管している。したがって、美術館は現在、上記の三つの部門、すなわち、カルロ・レーヴィの作品、デリコ・コレクションおよび郷土の宗教美術に分かれている。
カルロ・レーヴィの絵画作品を展示する部門では、前世紀の芸術および文化の中心人物のひとりであったレーヴィの作品を年代を追って見せている。それらの絵画は、医者であり文学者かつ画家であったこの人物の芸術上の変遷を物語っている。1920年代のカゾラーティCasoratiの下での経験から、それに続くモディリアーニModiglianiの影響、さらにバジリカータでの流刑中の作品における物質的で荒々しいリアリズム―そこには、画家個人が経験した苦しみによって昇華された力と自覚をもって南部の農民文化の魂が表現されている―を経て、1960~70年代の、難解で幻想的な抽象表現へと線が溶解してゆくさまが示されている。
別の部門には、デリコ・コレクションの17および18世紀ナポリの絵画が、美術の流れの中で、それぞれの画派に影響を与え、弟子や助手、追随者を生んだすぐれた中心人物を際立たせる選択基準をもって展示されている。リベーラRibera、リッカRicca、サルヴァトール・ローザSalvator Rosa、ジャコモ・デル・ポGiacomo del Po、ブリューゲルBrueghel、ソリメーナSolimena、デ・ムーラDe Mura、トラヴェルシTraversiの作品が広い三つの展示室を占めている。
バジリカータにおける宗教美術をテーマとした広い空間では、板絵や油彩をバックに12−13世紀の木彫や16世紀の石彫群を配した舞台装飾的な展示法が取られている。モンテスカリオーゾMontescagliosoの中世のベネディクト会修道院に由来する松葉杖型の柱頭や、ロマネスクやゴシックの洗練された原型がより教訓的な造形表現に結びついている木彫の玉座の聖母像、壁面の崩壊から救われたフレスコ画、民衆的な信仰心に浸されながらも、芸術の中心地で確立しつつあった新しい様式にも注意を払ったルネサンスおよびバロック時代の美術作品が当美術館には収められている。最上階の堂々たる「アーチの広間Salone
delle Arcate」には、現代美術部門が置かれる予定である。