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私の自然紀行 − 読者からの投稿記事 バックナンバー |
17 Marzo 2003 「ヴァル・ドルチャ周遊休暇」 トスカーナ州 - ヴァル・ドルチャ(シエナ県) Toscana - Val d'Orcia (Siena) 編集室 聴涛 洋子 |
![]() なだらかな丘のアシャーノ周辺 |
| トスカーナの中でもシエナ県のピエンツァ Pienza からヴァル・ドルチャ Val d'Orcia 周辺が私は最も好きだ。いわゆるトスカーナの絵葉書によく出てくるなだらかな丘と Cipresso(糸杉)の続く道、今はほとんどがアグリツーリズムと化している古い農家などの風景がとても美しいからだ。まばゆい新緑の丘陵の春も良し。特にバラの赤が映えるモンタルチーノ Montalcino 一帯のブドウ畑の美しいこと!夕食後に暮れる夕日で紫色に染まる夏の丘もいい。あぁ、なんてきれいなんだろう・・・とビール片手にのんびりふけていく夜。辺り一面の麦畑が黄金色に変る秋もまた素晴らしい。そして、凍るような澄み切った冬の空に輝く天の川も忘れがたい。・・・と(なんだか徒然草のようになってしまったが)一年中素晴らしい景色が味わえるところだ。それに料理も美味しい(まあ、イタリアはどの州も料理にはずれることはまずないが)。モンテプルチャーノ Montepulciano の赤やモンタルチーノのブルネッロ・・・この辺では最高級のワインが生産されるし、イノシシのサラミなど肉類が豊富。町中のオステリアや軽食を出すバールでは、クロストーニ Crostoni とブルスケッタ Bruschetta と言う、トスカーナの塩なしパンの薄切りの上に、名産のペコリーノチーズや、サラミ類、レバーペースト、野菜のニンニク炒めなどをのせて軽く焼いてあるものが必ずあり、昼食にワインを一杯やりながらガブリっ!てのがまたいいのだ。また、ピエンツァでは "pici ピーチ" と言う穴あきパスタが有名で、いつも土産に買って帰る。もちろん、トスカーナだもの、ヴァージンオイルや "cantucci カントゥッチ"(アーモンドクッキー)も忘れずに。
これまで何度かヴァル・ドルチャのアグリに滞在したことがあり、今年の年始にも友人達とグループで行った。私のお気に入りの宿(下記バックナンバー参照)に早々に予約を入れたら、改修工事で休業中。非常に残念!この宿はリビングの窓からピエンツァの丘が眺められ、各部屋から360度トスカーナの丘の景色が楽しめる、とってもいい所だったのだが・・・。4組8人と言う人数(しかも私を含めて3名は妊婦!)なので、4部屋とキッチン、広いリビング付一軒家を見つけるのはなかなか至難の業。JITRA(当然!)や他のネットで探しまくり、ピエンツァ近郊の一軒家に落ち着いた。質素で特にこれといった特徴はないアグリだったが、クリスマスのイルミネーションで庭中を飾ってあり(おかげで真っ暗な夜に帰宅しても遠方からでも認識できた)、掃除好きのおばさんがきれいに手入れをしていて、鍋から皿まで安心して使えたのが良かった。暖炉ではグリルもできたので、大晦日は salsiccia toscana(トスカーナの腸詰)や bistecca fiorentina(フィレンツェ風ステーキ)などを暖炉で焼いた。但し、皿洗い機が故障中(!)だったので、毎日すごい量の食器を交替で洗うハメになったが・・・。
周辺の見どころで、是非おすすめなのが、モンタルチーノから少し奥へ入ったところにある サンタンティモ修道院 Abbazia di S.Antimo。8世紀頃に建てられた古い修道院で、オリーヴ園に囲まれた、古さを偲ばせる重みのある石造りの教会だ。中世には巡礼者の病気を治したりする場所となり栄えたが、法王ピウス2世の命令で閉鎖された。現在は修道院として再開しており、毎日7回のミサで修道層たちが "グレゴリウス聖歌 canti gregoriani" を歌う、神秘的な雰囲気のとてもとても美しい教会なのだ。モンタルチーノから予約制のバスも出ているようだし、フィレンツェやシエナのハイヤーサービス(JITRAガイドオンラインのサービス参照)に頼んで周遊する手もあるので、是非試して欲しい。 車があればヴァル・ドルチャからすぐの バーニョ・ヴィニョーリ Bagno Vignoli もおすすめ。JITRAのテルメの記事で以前紹介したことがある(下記バックナンバー参照)が、古代から温水が湧き出ていて、巡礼者のための温泉場となった場所。今も古代の遺跡の間を湯を上げた水が流れている。温水の大浴槽となっている広場が素晴らしい。2003年頭現在、保存のための修理を一部行なっているが、この広場はタルコフスキーの映画『ノスタルジア』の撮影に使われた、一見の価値のある広場だ。もちろん、ピエンツァ Pienza の町も見逃せない。前述のピウス2世の出身地で、彼は自分の町を“理想の都市”にしようと、都市設計に基づいた広場を完成させた。ドゥオーモと市役所のある広場のことだが、均整のとれた町並みがとても可愛らしい。この広場の角には、私が大学時代に、コーヒーの"Lavazza"のテレビCMに使われたバールがあり(朝早くに神父さんがまだ閉まっているバールの下で自転車をチリンチリンを鳴らし、"オイ、お前んとこのカフェを飲まなきゃ目が覚めないよ”かなんかいうCM)、私にとってはその方が印象に残っているのだが。ピエンツァには balcone バルコニーと呼ばれる散歩道があり、丘の上からトスカーナの丘陵の景色が一望できる。
・・・とここまで読まれて、『どうせ車がないと行けないんでしょ!』と皆さん思われているでしょう。確かに、車がないととても不便なところです。但し朗報!『ヴァル・ドルチャ列車 Ferrovia Val d'Orcia』と言う、画期的な観光周遊列車が走っているのです(下記データ参照)。シーズンに何度か予約制で運行しており、シエナ駅、ブオンコンヴェント駅などを通過、ヴァルドルチャ一帯からモンテアミアータの方まで所々で途中下車しつつ、一周すると言うもの。停車場所では緑の中を散歩したり、中世の町で食事をしたりできる。レンタカーのできない人やハイヤーは嫌と言う人にお勧めです。
※バーニョ・ヴィニョーリのテルメの記事は、『テルメ』2002年3月5日掲載記事参照。
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