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私の自然紀行 − 読者からの投稿記事 バックナンバー |
16 Dicembre 2002 「生まれて初めてのスキーを ドロミテで挑戦」 トレンティーノ=アルト・アディジェ州 - サンタ・クリスティーナ(ボルツァーノ) Trentino=Alto Adige - St. Cristina (BZ) 高橋 陽子 |
![]() ドロミテ山脈を眺めながら一休み |
| 去年の2月にイタリアへ旅行した時、モデナにいる友達F から突然『週末にスキーに行こう』と言われた。全くの予定外のプログラム。スキーの用意は一切持ってきてないどころか、スキー自体、生まれて30年間一度もしたことがない!でも、その冬はアルプスに雪が全然積もらず、ようやく2月に入ってドロミテにも大雪が降りたと聞き、スキー好きの彼女はいてもたってもいられない様子だったので『OK』と言ってしまった。 行き先はヴァルガルデーナ Val Gardena。彼女曰く、ドロミテの中でも最も景色のいい辺りだとか。ボルツァーノ Bolzano までモデナから高速で2時間もかからない。ヴェローナを過ぎた辺りから両脇一面ブドウ畑になり、『この辺りが Strada del vino (ワイン街道)なんだな』と思った。スキーにはあまり興味がない私も、アルト・アディジェの料理やワインにはワクワク!スパ付のホテルに泊まって、スキーはそこそこにして、『食い気』と『美容』を楽しもう・・・なんて心の中でたくらんでいた。だんだんイタリアらしくない建築の要塞や教会が崖の上に見え、何となくドイツっぽい雰囲気が漂い始めてボルツァーノ着。我々の行き先はさらに山中を30分ほど行ったサンタ・クリスティーナ Santa Cristinaだ。
スキー無知な私は、ウエアーがどんなものなのか、何をレンタルしなくてはいけないのか、全く分かっていない。みんな友人任せ。『ウエアなんて、普段着のダウンジャケットにタイツはけばいいのよ』と言われ、彼女のお母さんのトレーニングパンツにいつも着ているダウンジャケットを。何となくガッカリ。ビッチリ決めている他のスキー客がうらやましい・・・。来年また来る時はきちんとウエア買おう!(それにはまずスキーを好きにならねば。)それにしてもスキーにはお金がかかる。用品のレンタルに確か80ユーロくらい、リフトの2日間フリーパスに60ユーロ、そして驚いたのは初心者用コーチ料。『Ski&Boarders Factory』というスキー学校で予約をお願いしたら、『子供のグループレッスンはあるけど、大人一人じゃあ個人じゃないと』と言われ、個人レッスンを2日間午前中2時間だけお願いしたら、190ユーロとられた。イタリアではいつも水着一枚持っていけば済む、無料ビーチでしか楽しんだことのない私には、『ものすごい高額の休暇』である!それに、ついでに金額の話を言ってしまえば、ドロミテはとにかく高い! 加えて人々の『鼻も高い!』ホテルなど『Settimana bianca (1週間のスキー休暇)』をしに来る客を優先するので、我々週末客はいたるところで無視された。満室でもないのに部屋をくれないのだ。どこも土曜日の夜に到着するであろう1週間客を狙ってのこと。それに、他のイタリアの街では考えられないほど無愛想!イタリア語もよく話さない係員もいれば、話しても必要最低限の会話しかしない人ばかり。何軒もホテルを回っているうちに、何となく『pesce fuori dell'acqua (イタリアのことわざで"水の外の魚"、つまり居心地が悪い)』って感じになってきた・・・。
何はともあれ、初スキー。コレだけ投資したのだから大いに楽しもう!約束時間きっかりに登場したコーチ、オズワルドは、幸いとっても気さくな地元のおじさんで、ドイツ語っぽいアクセントのあるイタリア語を話す。この辺り独特の方言なのだそうだが、私にはドイツ人がイタリア語を話しているようにしか聞こえない。横歩きに始まり、ハの字で滑る方法(イタリアでは"Spazzaneve(除雪機)"と言う)、リフトの乗り方(コレが最初は難しい! 特に上についてからリフトを股の間から離すのが難しいのだ!)などを教わり、初日の2時間で恐る恐るでもゆっくり初心者コースを滑り降りてくることができるようになった。うん、なかなか楽しいではないか・・・。人をノセルのが上手いオズワルド(これも仕事?)は忍耐も強く、何度も何度も同じコースを繰り返しついて来てくれる。そのうち、辺りの景色を眺める余裕も出てきた。Sasso lungo(長い岩)と呼ばれるドロミテの岩山が、雪を覆って堂々とそびえる姿がとても美しい。本当に美しい。青い空に白い雪。キラキラ光る雪の結晶・・・。これまで青と言えば海、白と言えば波しぶきだった私にも、山の自然の美しさが体験できた。『Grazie, a domani! (ありがとう、明日ね)』とオズワルドに手を振って、そばのシャレー(Charlet)で休憩。上級者コースでバンバン滑っている友人F を待つことにした。シャレーでは、やっぱティロルに来たのだからシュトゥルーデルを食べた。テラスで胸元をはたけて日光浴をしている人たち。シューっという雪のこすれる音。子供達の騒ぐ声。とても休まる空間だった。
翌日もオズワルドと特訓(?)。でも2日だけではあまり無理してはいけないと、1日目以上の技術は教えてくれなかった。怖いと思ったら終わりだから、徐々に雪に慣れ親しまないと、と彼は言う。確かに、イタリア人が家族で『Settimana bianca(1週間のスキー休暇)』をとる意味も分かる気がする。毎日無理のない程度に半日だけ滑り、少しずつ雪に慣れ、徐々に怖さもなくし、日に日に技術を上げていく方が、2日で詰め込んで習うよりもはるかに上達する。それに、結局私は疲れてしまって、ホテルのスパを利用するどころではなかったのだが、ドロミテは設備の整っているホテルが多いので、スパ付だのプール・サウナ付だの、そんなところに滞在しながら、半日はスキー半日はリラックスに使った方が、朝〜晩まで滑っているよりもずっと楽しめると私は思う。しかも、雪の山道を馬で散歩するなどの他のアクティビティーもあったので、今度は是非いろんな形で雪山を楽しみたいと思った。日曜夕方、サンタ・クリスティーナを離れる時には、友人に『次回は Settimana bianca (1週間)やろうね』と言った。スキー初体験。習得はいまいちだったけど、ドロミテはやっぱり美しかった。
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