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私の自然紀行 − 読者からの投稿記事 バックナンバー |
5 Novembre 2002 「南チロル レノンへの旅」 トレンティーノ=アルト・アディジェ州 - ボルツァーノ Trentino-Alto Adige - Bolzano 白沢 秀則・由美子 |
![]() リヒテンスターン駅にて |
| ともに50半ばの夫婦が、ツアーの合間の2002年5月20日(月)、ベネチアからボルツァーノ Bolzano 経由レノン Renon へ1泊2日の小旅行をしました。
●ベネチアからボルツァーノへ Da Venezia a Bolzano 小雨のボルツァーノ駅に10時半到着。当駅はドロミテ山塊への登山拠点だが、シーズンオフのためか静か。外は肌寒く、駅構内のバールにてエスプレッソとクロワッサンで朝食。のんびりムードの店内では店員のおばさんと数人の客との会話はドイツ語。オーストリア国境まで数十キロの地ゆえか・・・。一息ついた後、レノンのホテルまでの交通手段、明日の行動に関するバス時刻などの情報を入手すべく、市内のインフォメーションを訪ねるがあいにく休み。日曜、祝日が休みであることは知っていたが、本日が休日とは知らなかった。昨日カトリック系信者の祭りがあったための休日とか。情報入手の当てがなくなり心細くなる。レノンのホテルへの道順を駅荷物発送窓口の係員2〜3人に英語で尋ねるが、まったく要領を得ず。当地で英語は役に立たないようだ。一抹の不安を抱えながら小雨の市内を見物。バルター広場、エルベ広場、ボルティチ通りなどを見て回るが、休日ゆえか人通りが少なく、目抜き通りも休んでいる店が散見される。人口10万人とのことだが、意外と小さい町で1時間もあればほとんどに足を運ぶことができる。市内では自然博物館だけが子供連れ親子が入り口に列を作っていた。“雪男展”開催中とか。結局、本日のホテルについては『ロープウェイでレノン方面の高原へ上がれば何とかなるだろう』との思いから、町のはずれのロープウェイ駅へ。次の便は13時25分。2人だけの待合室にやがて地元風おばさんが来たのをさいわい、ノートに電車路線の絵、ホテルの名前などを書いてあれこれ尋ねる。お互いじれったい思いをするが概要はおぼろげながら把握できた。おばさんにはお気の毒。おかげで今日中には何とかホテルにたどり着けそうだ。
●レノン、リヒテンスターンへ A Renon e Lichtenstern
ロープウェイ終点からは電車が出ており、さらに高原上部に続いている。1両編成のローカル電車はロープウェイの客が乗り込むとすぐに発車。駅には駅員がいるわけでなく切符売り場もないので、乗り換え要領を心得ていないと取り残されることになる。すべては電車の運転士と車掌がやっている。私たちはおばさんの世話がなかったら危ないところだった。切符は1人1.5ユーロ。真っ赤な小型電車は新緑の林の中をくねくねと静かに進む。2つ目の駅が近づくと丘の上部に白い建物が見え、それがお目当てのホテルだとおばさんがサインをくれる。そこの全昇降客は私たち2人。“駅”と言っても、いきなり地面に降りるので、プラットフォームがあるわけでなく、物置風の小さな駅舎がちょこんと建っているのみ。電車のおばさんに手を振ると乗客みんなが手を振ってくれる。日本ではもはや見られない光景だ。まわりは林と牧草地で丘の一軒屋を除いて民家は何もない。
●ホテル“リヒテンスターン” Hotel Lichtenstern 駅の端から小道が丘に向かっており、雨で軟弱な地面の水気の少ない足場を選んで登る。沿道にはおおばこ、クロバー、いたどりなど。雑草はほとんどが日本の田舎の田んぼ道に生えているものと同じで親近感が沸く。クヌギ林の落ち葉道を抜けるとホテルへの近道があり、一気に登ると目指すホテルの裏手に出た。一見ペンション風のホテルは一面の牧草地の中にあった。緑の牧草に混じってタンポポ、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲなどの黄色い花々が咲き乱れ、思わず感嘆。玄関口からは一本の舗装道路が牧草地の柵の外に続いている。ベルを鳴らすと60才代と思しき主人(おじさん)が出てきた。相手はもっぱらドイツ語だが、当方は英語なので内容が十分伝わらない。やがて英語がわかる奥さんが出てきて円満解決。戸外に飲食をする施設がまったくない当地では夕食と朝食つきが普通。シャワー付きツインで1泊1人58ユーロ(約7千円)。2階のさっぱりとした清潔感あふれる部屋に案内される。部屋からベランダに出るとサントナースピッツエ、シュレムなどドロミテの雄大な山々が谷を隔てて目の前に広がっている。日本でアクセスした当ホテルのホームページ案内に『展望良好』と出ていた理由が納得きる。当地は未だシーズンオフということもあって宿泊客は少ないが、ホールの方では日帰りのお年寄りグループの集まりがなされており賑やか。当ホテルは全3階建てで27の部屋があり、庭にはプールがある。当地では点在するホテルがレストランを兼ねているので昼間でも忙しく、息子さんや娘さんを含めて家族全員が働いている。ホテルの周りには牧草地を隔てて遠くに隣の農家とホテルが見える。 英語ができる息子さんの助けを得て翌日の相談をする。危惧していたように、コルティーナ・ダンペッツォ Cortina d'Ampezzo までのバスがないことがわかったので、さらに遠方のイタリア国鉄始発駅カラルツォ Calalzo までのタクシー手配をお願いする。カラルツォからベネチアまでの切符はすでに購入済みにつき、列車発車時刻の16時07分までにカラルツォに到着する必要がある。また、ドロミテ山塊を眺めながらの移動では途中2〜3ヶ所で記念写真も撮りたい。あれこれ条件つきではあったが、気前の良いおじさんが電話で掛け合ってくれたおかげで、翌日タクシーがホテルに来てくれることになった。ボルツァーノ市内で手配するより料金はかなり安いようで思わず感謝。 夕食はレストランにて約6グループの宿泊客がそれぞれのテーブルについた。おじさんが元コックというだけあって素晴らしくおいしい料理がコースで出され、おいしい赤ワインとともに私たちにとって忘れ得ぬひと時となった。サラダに続く2番目の料理に豆腐を使ったものがあった。チーズの代わりに使ったものと思われるが、あっさりしていておいしい。奥さんがわざわざ私たちのテーブルにきて、豆腐の思いつきを説明してくれる。
●レノンの自然 La natura di Renon 夕方、ホテル前の庭に出て空を仰ぐと雲の合間に飛行機雲が4つ。それぞれの先端にはきらりと光る物体がまさに飛行中。当地はパリを中心として各国に航空網が張り巡らされている空の過密地帯であることに気がつき、地上とのアンバランスに複雑な思い。翌日はタクシーが来る11時までの時間を利用して別の散策コースを歩いた。晴天のややひんやりする中を舗装道路に沿ってしばらく登り、左に折れると松林に入る。途中、ホテルを2つほど通り過ぎる。停年退職者と思しきハイキンググループに出会い、挨拶をかわす。みんな気さく。小道をしばらく入った芝路にワラビの群生。栄養よく育ったまさに食べごろのワラビが小道を挟んでにょきにょきと出ているのに思わず声を上げる。手で一本ずつ“折る”というより鎌で“刈り取る”感じ。当地の人々はワラビを食べないものと見える。また、その近くの牧草地では黄色い花々の群生も発見し、しっかりとカメラに収めて帰った。レノンの自然を満喫。
●レノンを後にする Lasciando Renon...
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