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22 Luglio 2002 「町全体が芸術作品になる日 ‐花じゅうたん祭り」 ウンブリア州 - スペッロ Umbria - Spello |
![]() 陰影の表現が見事 |
| ウンブリア州スペッロ Spello では、カトリックの聖体節とよばれる祝日(コルプス・ドミニ Corpus Domini) に町中の道が花びらで描かれた絵や柄で飾られます。その花のじゅうたんの上を町の神父さんたちの行列が歩き祝福するというお祭りが行われます。今年の聖体節は6月2日で、私は友人の車でナポリを夜中の3時に出発。朝9時頃スペッロに到着したのでした。 道は全て花で飾られているため、町には車では入れず、特設の駐車場に停めます。駐車場は早くも各地からの車でいっぱい。遠くはミラノなどからも観光客が来ていました。町に入ると夜を通しての長旅の疲れも一気に吹き飛ぶ、色鮮やかさで虹色のじゅうたんが出迎えてくれました。当日は好天に恵まれ、6月はじめなのに夏のような陽気でした。見学をはじめると、じゅうたんを見守る製作者の人たちがじゅうたんに水分補給を絶やさないように気を配っていることが気にかかりました。それも庭木や植木に水をやるようなぞんざいな感じではなく、噴霧器や霧吹きで注意深くまんべんなくという風でした。好奇心に駆られた私は、町のひとびとに話を聞いてみることにしました。
町の人々は競って美しい花のじゅうたんを作りますが、材料には草花や種や木の実以外のものは使えないという規則があるため、各グループとも並々ならぬ努力と手間をかけているようです。そのような厳しいルールがあるにもかかわらず、各作品の色彩の豊かさは見事の一言です。ピンクや紫のアジサイを使って立体的に仕上げたもの、大きなはすの葉を大胆に並べたもの、など個性的な作品に仕上げる為の様々な工夫が見られ楽しいです。さらに敷かれた花々の香りは町全体を包み込み、この初夏の風物詩をより魅力的なものにしています。企画製作については、気の早い人達はお祭りの後にすぐ来年の計画を練り始めるのだそうです。話を聞く事のできたグループの人は前年の11月頃からテーマ・図柄・使う色(つまり使う草花の種類)を検討したのだと教えてくれました。そして約一ヶ月前から「絵の具」の採集にとりかかり、種類によって天日、オーブン、冷蔵庫など多様な方法で乾燥させるそうです。また同様のテクニックにより、同じ素材から別の色を生み出したり、彩度の違いを出したりもするそうです。より鮮やかな色に使われる「生」で使う花びらは、できるだけ活かしておく必要があり、それがまた難儀のひとつだそうです。
そして祭りの前日の夜半前から当日の早朝まで、デザイン済みののりつきの紙の上に夜を徹しての彩色がなされます。そして完成後も、先に書いたように鮮やかな色を保たせる為に霧吹きなどで常に水分補給を行う必要があります。しかし、いくら世話をしても花の命自体がそうであるように、この花のじゅうたん達もその日の正午頃には変色してしまうのです。色が変わってしまう前に11時頃から祝福の行列がじゅうたんの上を行進します。じゅうたんの上を歩くのは一人の神父さんだけなので絵柄が大きく崩れるというわけではありませんが、少々痛々しく、もったいないなあ・・・と思っていましたが、町の人々がみな晴れ晴れしい満ち足りた表情で眺めている様子をみて、この瞬間のためのじゅうたん作りなのだと、遅まきながら気が付いたのでした。約3時間という僅かな時間ですが、注がれる町の人々の長大な情熱と努力により、町全体が五感の全てを刺激する一つの芸術作品となるのを感じました。 【梅原 大輔 東京都出身 29歳 在イタリア歴3年2ヶ月】
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