![]() |
私の自然紀行 − 読者からの投稿記事 バックナンバー |
20 Giugno 2002 「朝日に輝くカラブリアの海」 カラブリア州 - カタンツァーロ Calabria - Catanzaro(CZ) 山内 英子 |
![]() 著者 |
| ローマで気温35℃を超える日々が続く8月中旬、イタリア南部へ行くことを決めた。目指す方角は、ローマから南東に600kmのカラブリア州である。レッジョ・カラブリア行きユーロスターに乗りこみ、ラメツィア・テルメ Lamezia Terme まで、5時間ちょっと。そこから、カラブリア鉄道に乗り換え、州都のカタンツァーロ Catanzaro に向けて山越えする。イオニア海に達したところで、海沿いにサンタンドレア・イオニオ Sant'Andrea Ionio まで40分ほど南下する。イタリアの地形をブーツに例えて説明すると、スネの部分から足の甲まで下り、親指の根元あたりから靴底に突き抜け、つま先に向けて少しだけ移動したかたちだ。2両編成の列車が、駅員のいないサンタンドレア・イオニオ駅に到着したのは、ローマを発って8時間後だった。長旅にしては、疲れをさほど感じさせない。美しい海、きれいな空気、静けさが、疲れを吹き飛ばしてくれたかのようだ。 サンタンドレアの旧村は、切り立った丘の上にある。人口わずか800人。背後が山のため、新興住宅街は海岸沿いに広がり、そこに2000人が住んでいる。私が宿泊したのは、村の中心に近いラニエリ家。私がローマで住んでいるアパートのオーナーの母方の実家である。普段は空き家。ヴァカンツァの時だけ利用される。3階にオーナー一家、2階は私に自由に使わせてくれた。居間、キッチン、バスルーム、寝室。手入れの行き届いた、広々とした別荘である。
この家から海が見える。屋上テラスに上がると、雄大なイオニア海が臨めるのだ。前方180度、そのほとんどが「海」だ。朝日は、前方の海面のど真ん中から昇る。早朝5時半に起きれば、海を赤く染め、ゆっくりと昇る朝日が眺められる。残念ながら、その瞬間はついに見ることができなかったが、6時過ぎには朝日が、鏡のように静まり返った海面の少し上に浮かんでいた。その贅沢ともいえる光景は、丘から眺めているだけではもったいない。すぐさま海に入って、泳ぎたいという衝動にかられる。 朝6時半過ぎ、神秘的なまでに穏やかな海に入る。水が温かい。沖に向かって泳ぐと、海は急に深くなり、水の色はエメラルドグリーンから濃いブルーに、一泳ぎするごとに変わって行く。カラブリアは海岸線がなだらかで、果てしなく長い。つまり、海岸に立つと、視界を遮るものが何もない。砂浜、海、水平線、空、それだけだ。この村に里帰りする人は多いが、観光客は少ない。長い海岸線に、ビーチパラソルが立てられ始めるのは、10時過ぎ。大自然の懐深くに抱かれている、と実感する。疲れると、別荘で昼寝。夕方は村の広場を散歩したり、隣村のソヴェラート Soverato まで足を伸ばす。夜は満天の星空の下で、風を受けながら海岸に並行するプロムナードを歩く。サンタンドレアは小さな村なので、親族の交流も活発だ。到着して2日目に、泊り客の私まで、親族の1軒から昼食の招待を受けた。地元のおじいちゃん宅に、親族全員が集合である。世代別にテーブルに分かれて座り、食事会は始まった。南イタリアには「大家族主義」が今も生きている。 【寄稿:山内英子(やまうちえいこ)フリーライター。著書には「マジカル期をうまく使う」(砂書房)、「チャイルドケアの仕事」(同朋舎・共著)がある。ローマを拠点にフィールドワークのレポートを「教育新聞」に連載中】
| |||
|
|||
|
http://www.japanitalytravel.com
|
|
© JAPANITALY.COM srl - MILANO 2000
All rights reserved.
|