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私の自然紀行 − 読者からの投稿記事 バックナンバー |
5 Aprile 2002 「海と山と温泉と… 長くいても飽きない島」 カンパーニア州 − イスキア島 Campania - Ischia 古庄 美穂子 |
![]() キノコ岩フンゴとエポメオ山 |
| ナポリ湾に浮かぶ一番大きな島イスキアは、日帰りは勿論、長期滞在しても飽きることがない。私は、以前住んでいたサルソマッジョーレからナポリに引っ越して間もない頃、夫とここに一週間滞在した。 島に着いて直ぐ目に付くのは、三輪の軽タクシーである。とても危なっかしいようだが、バスも走る主要道を外れると、急高配の小さな坂道ばかりのイスキアでは、こういう小型車の方が小回りが利いて便利なようだ。宿泊はフォリオを国道沿いに少し進んだところにある ヴィッラ・アンジェラ Villa Angela にお世話になった。このホテルはバス停からも近い。温泉施設も整い、屋内と屋外に鉱泉を引いたプールがある。屋外プールはパティオの様に客室に囲まれていて、部屋から直接飛びこむことも可能。でも私たちが実際に泊まったのは、このホテルと同経営のS.ドメニコ地区にあるレジデンス。ホテル脇の、ものすごい高配の坂道を上っていくのだ。回りには葡萄畑がひろがり、向かい側にはイスキアの頂上をなすエポメオ山が聳える。静かで、リラックスできる。時折、近所のシャムネコがお愛想を振り撒きに来たりもする。 ここから一番近いのは、チターラの海水浴場である。黒っぽい砂浜が続き、所々、火山活動の影響か、噴水が吹き上げているところがある。その付近は、海水も熱い。近くには、ポセイドンという海水公園もある。中で、温泉療法もしてくれるようだ。この海岸は、ちょっとゴミゴミしているので、私たちが気に入って通っていたのは、国道をサンタンジェロの方に進んだところ(Succhivo)にある海岸カーヴァ・グラードCava Gradoである。バスでも行けるが、バス停から15分ほど歩く。結構な道のりだ。運良くタクシーで連れていってもらえても、下のビーチまで長い階段がある。何しろ切り立つ岬が海岸線まで迫っていて、所によっては標高差が200m近くになる。しかし、足の苦労に報いるかのような、素敵な海岸が待っている。二つの岬に挟まれた、小さな港とも表現できるビーチである。階段を下りて直ぐ左手には、熱い湯が溜まっているところがある。殆ど、日本の温泉である。ここでは、瓶詰めファンゴを売ってもいる。皆、好きなように塗りたくって、パックを楽しんでいる。中には、全身これがしに塗り捲っている剛のものもいて、見ているだけで面白い。右手のほうは、もう少し開けている。ここにも温水の吹き出るところがあり、上手く石で回りを囲むとちょっとした温水プールができる。太陽の下、一度入ると出る気にならない、極楽気分を味わえる。クルージングのヨットでここまで来て、一日過ごす羨ましい人達もいる。
イスキアの周囲を巡る遊覧船というのもある。この船は、ポルト Porto 以外のイスキアの船着場、カサミッチョラ Casamicciola、フォリオ Forio 等から乗客を乗せながら島を一周し、観光スポットを案内してくれる。サンタンジェロ、カステッロ Castello(アンジュー朝時代の砦)、フンゴ Fungo(カサミッチョラにあるキノコ型の岩)は言うまでもなく、巨人の足(イスキアはオリンポスの神々の怒りを買った巨人の一人、ティフェーオが封じ込められていると言う伝説がある。)と言われる岩を見せてくれたりする。珊瑚が群生している所では停泊して、船底の窓から(カリプソ号のような覗き窓がある。)観察するのも面白い。とげとげのあるウニが美味しそうな姿を見せている。運が良ければ、海底を歩くアラゴスタ(イセエビ)に遭遇できる。その他、地上からは行けないビーチなども案内してくれる。 私たちのレジデンスの前には、誘いたげにエポメオ山 Epomeo(788m)が聳えている。海水浴にもちょっと飽きてきたある日、「登ってみようか。」と思い立つ。まず、麓の町フォンターナ Fontana まで車で行く(路線バスあり)。初めのうちは、緑の多い森林公園のようであるが、次第に、白っぽい石灰岩からなる分水嶺のような所を登っていくことになる。足場が心もとないので、手をついて、這うようにして進む。ところが、パッカ、パッカと蹄の音がするので、何事かと振り返ると、ロバが観光客を乗せてやって来る。どうりで、所々に落し物があるわけだ! 歩くのが面倒という気持ちも解らないわけではないが、この急所を有蹄類の鞍上で進む方が、余程怖い気がした。さて頂上からは、島が一望できる。青い空に、海と白い岩、黄色いジネストラの花のコントラストが素晴らしい。気持ちの良い、夏のひとときであった。 【寄稿:古庄 美穂子 92年より在伊。自宅の窓より、ナポリ湾とイスキアの夕暮れを眺めるのが日課】
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