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ヴェネツイアのブラーノ島だより  
15 Luglio 2015

第6回  少し足を延ばしてムラーノ島へ 


 
写真・文 宮崎 亜矢子 



●ブラーノ島とムラーノ島、その強烈な競争意識
ほんとにちょっとの距離なんです。ブラーノ島とムラーノ島(Isola di Murano)。「BATEOバテオ」とヴェネツイア人は呼ぶ水上バスで33分。とはいっても亀さんの歩みの水上バスですので、距離にしたらわずか8km! しかしながらMURANESI(ムラネージ=ムラーノ島の住民)とBURANELLI(ブラネッリ=ブラーノ島の住民)の間にはふかーく、くらーい闇が存在するのです。

トップ写真@ムラーノ・ガラス色づけ用のミネラルの粉末
写真下Aムラーノ島のガラス工房通り。1291年からずっとガラス工房があります。

なんてったって、おらが島の住人達。ブラネッリは橋でつながっているMAZZORBESI(マゾルベージ=マゾルボ島の住民)のことを「いなかもの」だといって馬鹿にするぐらいですから、これが古くから異なる伝統(ムラノガラスとブラノのメルレット、つまりレース編)を持ち、お互いが世界で一番だという意識を持つ、誇り高きセレニッシマの子孫達。それはそれは、ほとんど「憎悪」に近いほどの感情をお互いに持っているのです。傍から見てるとただただ笑えるのですが。

●「レガッタ・ストリカ」で爆発!
それが爆発するのが9月第1日曜日にあるレガッタ・ストリカREGATA STORICA(伝統的ボートレース)。ゴンドリーニGONDOLINI(レガッタ用のゴンドラで、通常のゴンドラが10.75mあるのに対してこちらは10.5m)二人漕ぎの迫力ある最終レースでは、子供のころからバルキンBARCHIN(小さいボート)を下駄代わりに乗り回す二つの島民代表の一騎打ちという感じで、毎年大盛り上がりします。


写真下左B島の栄華をしのばせるレリーフがあちこちに   写真下右Cムラーノ島のあちこちにガラスのオブジェ 

まあ、白熱のおらが島の戦いはよそにおいておいて、天気のいい午後などぷらっとお散歩に行くにはいい距離にあるのです。しかも団体観光客はガラス工房にボートで強制的に連れていかれ、ちろっと実演を見て、強制的にガラスを買う羽目になり、そのままボートに乗せられてヴェネツイアに帰るという、ムラーノの良さをちっとも実感できない、もったいない日程が組まれていることが多いのです。これは実に残念。ムラーノはブラーノよりもかなり大きい分、見所も満載なのです。今回はブラーノとムラーノ(時間があればトルチェッロまで!)を一日で回れるお得な日程をご紹介しましょう。

●1日でブラーノ島とムラーノ島をめぐる
ヴェネツイアに滞在する観光客の多くは、朝フォンダメンタ・ヌオヴェFONDAMENTA NUOVEから水上バスでムラーノにわたり、ガラス工房を見てから、午後になってブラーノに渡ってくるケースが多いようです。ヴェネツイアに近いところから攻めようという、メンタルの流れなのでしょうが、これはいまいち。なんてったって、ブラーノに午後から来る水上バスは、ハイシーズンともなると既にフォンダメンタ・ヌオヴェから激混み。ムラーノ観光を終わってから移動などしたら、バスで立ちっぱなしの羽目になります。ヴェネツイア、ムラーノ、ブラーノともかなりしっかり歩くので、なるべくなら座っていきたいもの。その点、朝早くベネツィアを出て、ブラーノまで一気に来てしまえば、とりあえず一番長い経路は座ってこられます。

写真下左Dきれいなお庭を眺めながら裏道散歩   写真下右E運河沿いの雰囲気のある道

ブラーノ観光を終えた後、ブラーノまたはトルチェッロでゆっくりランチをいただいてから(前回をご参照ください)、ムラーノに戻る12番の水上バスに乗り(とっても混むので、時間より少し早めに行くべし)、ムラーノまで約30分。夕方5時前にムラーノについていたほうがお勧め。ガラス工房もこの時間なら実演をやっています。ただムラーノのお店は夕方6時くらいには閉まってしまうことが多いので、ガラスを買いたいのでゆっくり見たいという方は、ランチを早めに切り上げていらっしゃるほうがよいでしょう。
買うつもりはなかったのに、出会ってしまった素敵なガラスの置物を買ってしまったとしても、この経路なら後はホテルに戻るだけ。これが朝一番にムラーノ島に行ってしまったら、素敵な出会いがあったとしたら、泣く泣くあきらめるか、一日中恐る恐るガラスを持ち歩く羽目になります。余談ながら私の横にはブラーノから東京まで推定5Kgのムラーノ・マエストロ特製超巨大アヒルをプチプチでぐんぐる巻きにした状態で持ち歩いた人がいるので、あんまりびっくりもしませんが。。。ちなみにこのアヒル、私の母が微妙な顔をしながら受けとり、実家の応接間に鎮座ましましていらっしゃいます。

●運河沿いの「ガラス工房通り」へ
さて、ムラーノ散歩。ブラーノから行く場合は、バスは灯台のあるムラーノ・ファロMURANO FARO(灯台)駅に止まります。ここを降りると目の前にまっすぐの道があるので、そこを進み、つきあたりを左に折れると運河沿いの道フォンダメンタ・デイ・ヴェトライFONDAMENTA DEI VETRAI=ガラス工房通りにでます。この運河沿いはその名の通りほとんどがガラスのお店。工房もあるので、運がよければ実演を見られることも。団体客に混じって見学させてもらうのがてっとり早い方法です。

●興味深いガラス製造の実演
ガラス製作はとても興味深いものです。機会があればぜひごらんになってください。窯の温度は1200度にも昇るため、この時期マエストロたちは汗だくで作業をしてらっしゃいます。このマエストロの仕事、ブラーノのレース編みと同じく、13世紀から父から息子へと受け継がれてきたもの。ムラノガラスの学校というものは存在しません。日本人も含めて世界各地から修行に来ていますが、後継者不足であるのはここも一緒。

写真下左F真っ赤に焼けたガラスを手早く成型します   写真下右Gまわしているうちにガラスにフリルができる!

実は親戚に若いながら有望なマエストロがいて、団体客に混じってちょっと見学をさせてもらいました。ガラスは、砂、ソーダ、カリウムからできていて、 色をつけるには、青はコバルト、水色はコバルトと銀、緑色は銅といったミネラル酸化物を使います。赤は、セレンおよび液体の金で色をだすので、最も高価になるそうです。

写真下左Hマエストロの年季の入った道具   写真下右I木を燃やして釜を温めます。ピザ釜と同じ原理

何回も窯に出し入れしながら成型し(作業するには、ガラスが非常に高温でなければならないため)、最後に24時間冷却させるといった非常に長い時間をかけて作られる芸術品です。マエストロたちは自分の使う道具も手作りするそうです。こうやって作り出される本物は、やはりお値段は張るものの、素敵な作品も多く、ショーウィンドウを冷やかしながら散歩するのも楽しいもの。

●ムラーノ大運河とヴィヴァリーニ橋
この運河にかかる古い橋を渡り反対側に渡り、ちょっと右に歩くと、サン・ピエトロ・マルティーレ教会CHIESA DI SAN PIETRO MARTIREがあります。この16世紀の静かな教会はあまり訪れる人がいないものの、ジョヴァンニ・ベッリーニの作品が2点あり、ぜひ訪れてほしいものです。

写真下Jヴェネツィアの大運河を髣髴とさせるムラーノ大運河   写真下右K軽い質感の鉄橋が美しいヴィヴァリーニ橋 

そこからちょっと行くと、大きな運河、ムラーノ大運河CANALE GRANDE DI MURANOに突き当たります。この運河にかかる大きな19世紀の鉄の橋ヴィヴァリーニ橋PONTE VIVARINIを渡りながら後ろを振り返るとダ・ムーラ館PALAZZO DA MULAという15世紀ゴシック様式の大きな館が見えます。

写真下L重厚なゴシック様式のダ・ムーラ館。 

この橋を渡ったら、右に折れるとPORTICOポルティコ(はりだし屋根)のある小道を通って、ガラス博物館MUSEO DI VETROまで運河沿いを歩きます。

写真下左Mここもポルティカート  写真下右N静かなガラス美術館の中庭。

●是非訪れたい「ガラス博物館」
このガラス博物館、ガラスにあんまり興味のない方にもぜひ訪れていただきたい。入ってすぐの部屋で、ビデオで解説されるガラスの様々な工法は、思わずふーむとうなってしまうものです。その後古くからのガラス製品のコレクションがあり、これもじっくり見ていると一日仕事になってしまうのですが、順路の最後に出られる中庭がとても素敵なのです。テーブルといすもあるので、博物館でちょっと疲れた足を休めるのにもぴったり。忙しい観光の中にもこういう一時が持てるのは、車の通らないベネツィアの島々のいいところです。

写真下左Oガラス博物館の中庭にはレリーフがたくさんあります  写真下右Pビザンチン様式のサンティ・マリア・エ・ドナート教会 床は美しいモザイクが 

●サンティ・マリア・エ・ドナート教会
ガラス博物館のすぐ隣にある、サンティ・マリア・エ・ドナート教会CHIASA DI SS.MARIA E DONATOは、ヴェネト=ビザンチン様式の古い教会。内部には1140年の素晴らしいモザイクの床が残り、上を見上げればムラーノガラスの豪華なシャンデリアと、今となっては想像もできないヴェネツイアの栄華を思い起こせてくれる教会です。

写真下左Qサンティ・マリア・エ・ドナート教会のレリーフ   写真下右Rサンティ・マリア・エ・ドナート教会の古い鐘楼

この教会の裏手にある通りを行くと、静かな住宅街に出ます。観光客はほとんどここまでくることは無いため、のんびりお散歩が楽しめます。ブラーノに比べれば大きいとは行っても、それは島。どこを通っても最後は運河にでますので、ご心配なく。先ほど渡ったヴィヴァリーニ橋に戻り、ガラス工房通りを今度は橋を渡らずにまっすぐ行けば、ヴェネツイア行きの41番が出るムラノ・コロンナMURANO COLONNA駅にたどりつきます。駅やローマ広場に急ぎたい方は急行の3番に乗ると各駅の41番よりもずっと早く18分で駅までつきます。これは最終が18時50分とちょっと早めなので気をつけてください。 普通とはちょっと違う、観光客のあまり見ないムラーノ、ぜひ歩いてみてください。このコース、2−3時間で歩けますが、ガラスのお店を見るだけより、ずっと満足感の高いものだと思います。あっ、でも、ブラーノ人に会ったら、「ムラーノ島は本当に素晴らしかった」って言うのはちょっとやめておいたほうがいいかも!?


ヴェネツイアのブラーノ島だより案内人プロフィール
宮崎 亜矢子(Miyazaki Ayako)

イタリア在住15年、ナポリ、ローマ、ミラノ、ヴェネツィアと流れ流れて行き着いた先が、ヴェネツィア人からも「ISOLA CHE NON C'E (存在しない島)」と呼ばれる、人口3000人を切る小さな漁師の島ブラーノ島。ヴェネツィアはサンマルコ広場の超有名ブランド宝飾店勤務から、島で唯一の魚屋の妻兼経理担当として、生粋のブラネッロらしく超のんびりな夫を叱咤激励しつつ、時に前掛けつけて売り場にも立つブラネッラに、華麗なる転身をとげました。元スチュワーデスとして世界中を旅行した経験を生かし、ホームステイのおっかさん役+個人旅アドバイザーとしても活躍中。21世紀とは思えぬゆるーい時間の流れる島の生活を、毎日更新のブログで綴ります。
B&Bサイト:http://ayaburano.web.fc2.com/   http://ameblo.jp/ayadiburano/ 


関連データ 
 

ムラーノ島

■ガラス博物館 MUSEO DI VETRO
開館時間:4月1日-10月31日 10:00-18:00
11月1日-3月31日 10:00-17:00
定休日:水曜日
入館料:5.5ユーロ

■サン・ピエトロ・マルティーレ教会 CHIESA DI SAN PIETRO MARTIRE
開館時間:
月-土 9:00-12:00/15:00-19:00  日15:00-18:00

■サンティ・マリア・エ・ドナート教会 CHIESA DI SS.MARIA E DONATO
開館時間:
月-土 9:00-12:00/15:30-19:0   日15:30-18:00

■ガラス工房 VETRERIA ARTISTICA EMMEDUE MURANO
親戚のマエストロが働く工房です。見学希望の方は予約も可能です。
FAROでおりて最初の角を左に折れてすぐ左。運河よりも手前にありますので、時間がなくてもすぐにたどりつけます。
住所:Calle Miotti, 12A Murano
Tel: +39-041-739503
info@emmeduemurano.it http://www.emmeduemurano.it


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