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ヴェネツイアのブラーノ島だより  
15 Marzo 2015

第4回  魚っ食いの天国


 
写真・文 宮崎 亜矢子 



●ここ「漁師の島」ではお魚がメイン
おまちかねのグルメ編。もともと何のためにイタリアに来たかと尋ねられれば、「飲み食いしに来た」と答えるほどの食いしん坊(+のんべえ)、おなかが、もとい、腕がなります! はるか昔に南イタリアから北イタリアに移住を決めたとき、「北の食事はクリーム、バターが多くて、日本人にはちょっと重ためだよ」と聞かされて戦々恐々としていたものでした。確かに以前住んでいたヴァレーゼ県などでは、お肉メインの料理が多く、魚屋さんは皆無、スーパーに行っても中々おいしいものが手に入らず、「猫またぎ」とも評されるほどの魚っ食いとしてはちょっとつらい思いをしておりました。

トップ写真@みんなで食べると15Kgのムール貝もあっというま!
写真下左A投網を見せてもらいました     写真下右B漁師さんの家の前

しかしながらヴェネツィアはなんてったって海の上。ヴェネツィア料理の中心はやはりお魚です。しかも昔から「漁師の島」として名高いブラーノ島は、魚っ食いの天国!現在魚を食べる若い人たちが全体的には減ってきているものの、依然としてお魚がメインメニューなのです。

写真下左C近海モノのイワシのグリル   写真下右D大鍋であげたるフリット、揚げたてをいただきます。最高の贅沢!  

●びちびち飛び跳ねている小海老の「スキエ」
なにしろ種類が豊富。他の街では食べられない、ヴェネツィアでも中々お目にかかれないような、ローカルなお魚がいっぱいあります。たとえば「SCHIE(スキエ)」。これはベネト潟でとれるグレーの色をした小海老で、日本の川エビに似た感じ。シーズン(11月くらい)には、びちびち飛び跳ねて、箱から飛び出してしまうくらい生きのいいのが山ほど盛られているのを目にします。

これはゆでるときれいなピンク色になり、オリーブオイルで和えたのを「POLENTAポレンタ(とうもろこしの粉を練って作ったヴェネト地方の主食)」と一緒にいただきます。川エビと同様フライにすることもありますが、圧倒的に茹でる方が多いようです。私は断然フライ派。通常白ワインをあわせますが、「これにビールか辛口の日本酒で、もう居酒屋気分ね!」などと考えてるのは私くらい?

写真下左Eやわらかポレンタとゆでた小海老(SCHIE)のコンビネーションがグッド   
写真下右Fでっかいウナギ。生きてます

●天然モノのラグーナのウナギも
また天然モノのラグーナのウナギ、などというものも手に入るのです。日本のウナギに比べるとかなり太く、見た目ウツボっぽい?しかもかなり皮が厚く、脂っこい。江戸前の蒲焼のように蒸してから備長炭で焼き、秘伝のたれを何回も付け焼きするなんて手間をかければ、皮も柔らかくなるかもしれないのですが、家庭ではほぼ不可能ですし、ここはちゃきちゃきの漁師の島ブラーノ。シンプルに炭火焼にして脂を落として食べるとなかなかのもの。日本から持ってきた蒲焼のたれと山椒で、炊きたての白いご飯にのせて食べれば、それなりに気分は味わえます。

まあ、日本からいらっしゃる皆さんはなにもブラーノまで来て蒲焼食べることもないでしょうから、ブラーノで唯一炭火焼を行っている、有名なTRATTORIA DA ROMANOトラットリア・ダ・ロマーノで味わってみるのはいかがでしょうか。また「VIGILIAヴィジリア=クリスマス・イヴ」などに家庭で食べる、ウナギのフライというのもあります。日本人の感覚からすると、あんなに脂っこいものを油で揚げるなんて、とも思われるかもしれませんが、これはこれでなかなかおいしいものです。所変われば品変わるとはよく言ったもの。

写真下左G今日は大漁。おっきいのは10KG以上とのこと     
写真下右H他の街に比べて、圧倒的に種類が豊富なブラーノ島の魚屋 

●天下一品は「ムツゴロウ?』のリゾット
そしてブラーノで食べる一皿といえばこれ、「RISOTTO DI GOリゾット・ディ・ゴ」です。「ゴって何???」という感じですが、これはやはりベネト潟に生息するムツゴロウのようなお魚。見た目はかなり不気味ですが、触った感じは尚不気味。見た目のぶつぶつ感にぬめぬめ感が相まって、思わず「こんな不気味なものは食べられないに違いない」と思うのが普通。ところがどっこい、「BRODOブロード=ブイヨン」にすると、見た目からは想像できない、とてもエレガントで深みのあるお出汁が取れるのです。このお出汁を使ったリゾットは天下一品で、ブラーノにあるほとんどのレストランのスペシャリテになっています。

写真下左I僕がゴでえす!ちょっとウーパールーパーちっく。後ろはGRANSEOLA(蜘蛛ガニ)    
写真下右J真っ黒なイカ墨のリゾット。食べるとお歯黒状態。これはうちの義母製作です。 

●これこそ本物、真っ黒な「イカ墨」スパゲッティ
そしてもう一品は、「SPAGHETTI AL NERO DI SEPPIAイカ墨のスパゲティ」。 こちらは日本でも有名ですが、ブラーノで出されたものを食べると、他のところで作られたものは食べられなくなります。まず第一にイカ墨が違う!新鮮なイカをさばいたときにイカ墨の袋をとっておいて、「SUGOスーゴ=サルサ」を作るときに、親の敵のように入れるのです。

当然出来上がりは真っ黒!この真っ黒さをブラーノ人たちはとても自慢にしているのです。しかもイカ本体もぶつ切りにしてごろごろと入れ、一皿でプリモとセコンドを食べているかのよう。普通のレストランで食べる、パスタがちょっとクロっぽくなったようなあの「イカ墨のパスタ」はなんだったんだろうと思うことうけあい。ちなみにこのサルサを入れたリゾットもとてもおいしいです。こちらもお米が真っ黒になるまで入れるのがブラーノ流。

●夏にはムール貝を豪快に
また季節モノになりますが、ここではPEOCIと呼ばれる「COZZEコッツエ=ムール貝」。これはヴェネツィアから水中バスに乗ると海中に転々と立つのが見られる、航路を示すBRICOブリコと呼ばれる丸太にくっついているのを、巨大な網でこそげ落として採るのです。

写真下左Kみんなでムール貝のお掃除    
写真下右L海の幸豊富なベネト潟の夕景。この丸太がBRICOです。ムール貝がいっぱいくっついてる。 
写真上M大鍋でムール貝をオリーブオイルで炒めます。シェフはブラーノで有名なリノ翁。

夏場のシーズン中の週末は、誰かしらが大量にとってきたのを、おしゃべりしながらも手はすばやく動かしつつひげをとり、大鍋にオリーブオイルとにんにくを熱した中にバケツで投入。漁師の島はなんでも豪快です。これをみんなで食べるのですが、この時だけはイタリア人にしてはめずらしく皆無口。大鍋いっぱいのペオチがあっという間にお腹におさまっちゃいます。

●これまた美味な「かたつむり」
その他、ベネト州全域でたべられている「BOBOETTIボボエッティ=かたつむり」。見た目完全にかたつむりで、当然角もあるため、口にするのはかなり勇気が必要です。その辺で採ってきたのを紙袋に入れてしばらく放置し、お腹の中をきれいにします。この時紙袋の口をちゃんと閉じておかないと、家中にかたつむりが這い回ることに!ナンマイダーと茹でてから、オリーブオイルであえて、にんにくのみじん切りをこれでもかというほど放り込みます。確実に3日くらいはにんにくのにおいが抜けませんから、これを食したらしばらくデートの約束はしないほうが無難。しかしながら爪楊枝でつんつんとつっついて引き出したのをちゅるんとすすりこむ手が止まらなくなるほど、これまた美味。

写真下左N「ボボエッティ」ことかたつむりがいっぱい!  写真下右Oエスの字をした「エッセ・ディ・ブラーノ」

●「エス」の字をしたドルチェ「エッセ・ディ・ブラーノ」
さあ、ここまで読んでお腹一杯になった方には最後の「DOLCEドルチェ=デザート」を。ブラーノのドルチェといえばこの一品、「ESSE DI BURANOエッセ・ディ・ブラーノ」です。これは名前の通りSの字の形をしたクッキーのようなもの。ヴェネツィアのおみやげ物屋などでも、ブラーノ島のカラフルな家の写真がラベルで貼られた袋入りを売っていますが、その名の通り、元はブラーノ出身のドルチェなのです。

原材料はとってもシンプル。小麦粉に卵、バターにお砂糖と、ドルチェの基本中の基本みたいな材料だけで作られるのですが、そのレシピは各家庭で少しずつ異なっているのです。それぞれの比率をかえてみたり、ブランデーを入れたりする人もいます。しかしながらその味はママから娘へと代々受け継がれてきたものなのです。「PASQUAパスクア=復活祭」の時には、同じ生地を「BUSSOLAブッソラ」、つまり羅針盤の型につくったまあるいのを、友人や近所の方にプレゼントするのが慣わしになっています。こんなところにも、海と深く関わりあって暮らしてきたブラーノの人たちの思いがあらわれています。

●とれとれのお魚とプロセッコでスローな旅を
海に囲まれたブラーノの島にはいまでも漁業を生業とする人がたくさんいます。彼らが運河に浮かぶ小船の前に網を干しているのをのんびり眺めながら、カラフルな家々の前に並べられたテーブルで、とれとれのお魚メニューを味わい、ここから1時間ほどのVALDOBBIADENEヴァルドッビアデーネから届く「PROSECCOプロセッコ=発砲白ワイン」のグラスを傾ける、そんなスローな旅を楽しめるのが、このブラーノの素晴らしさです。ぜひ一度体験しに来てください!


写真下P手前に見えるのが魚焼き網。日曜日ランチに魚のグリルをするのに使われます


ヴェネツイアのブラーノ島だより案内人プロフィール
宮崎 亜矢子(Miyazaki Ayako)

イタリア在住15年、ナポリ、ローマ、ミラノ、ヴェネツィアと流れ流れて行き着いた先が、ヴェネツィア人からも「ISOLA CHE NON C'E (存在しない島)」と呼ばれる、人口3000人を切る小さな漁師の島ブラーノ島。ヴェネツィアはサンマルコ広場の超有名ブランド宝飾店勤務から、島で唯一の魚屋の妻兼経理担当として、生粋のブラネッロらしく超のんびりな夫を叱咤激励しつつ、時に前掛けつけて売り場にも立つブラネッラに、華麗なる転身をとげました。元スチュワーデスとして世界中を旅行した経験を生かし、ホームステイのおっかさん役+個人旅アドバイザーとしても活躍中。21世紀とは思えぬゆるーい時間の流れる島の生活を、毎日更新のブログで綴ります。
B&Bサイト:http://ayaburano.web.fc2.com/   http://ameblo.jp/ayadiburano/ 


関連データ 
 

TRATTORIA DA ROMANO 
トラットリア・ダ・ロマーノ
どのガイドブックにものっている、おなじみ有名店。店内には壁にすきまが無いほどに絵が展示されていますが、その昔貧しい絵描きたちがお金に困っていると、食事代金として絵を置いていったのだとか。有名になった画家もいて、壁の一部の絵が展覧会に貸し出し中ということもあります。炭火焼のグリルがおいしい。
営業時間:ランチ 12:00-15:00 夜は予約が入っているときのみ
定休日:火曜日
1月に2週間ほどのクローズ期間があります。
サイト: http://www.daromano.it

TRATTORIA AL GATTO NERO DA RUGGERO 
トラットリア・アル・ガット・ネーロ・ダ・ルッジェーロ

ここも非常に有名。イギリスのカリスマシェフもここでロケをしていました。ブラーノ人の利用も多いです。フリットが最高においしい。お店はそれほど大きくないし、いつもいっぱいなので、要予約です。
営業時間: ランチ 12:30-15:00 夜 18:30-20:30
定休日:火曜日
クリスマス後に2週間ほど、7、8月に1-2週間ほどのクローズ期間があります。
サイト:http://www.gattonero.com

TRATTORIA ALLA MADDARENA 
トラットリア・アッラマッダレーナ

一昨年オーナーが変わって新規開店しましたが、非常に評判がよく、週末などは地元の人で満員なので要予約です。ブラーノの隣MAZZORBOマッゾルボの停留場をおりてすぐ、運河に向かったロケーションも魅力です。
営業時間: ランチ 12:00-15:00 夜は予約が入っているときのみ
定休日:火曜日
1月に2週間ほどのクローズ期間があります。
サイト: http://www.trattoriamaddalena.com

ブラーノ島では、シーズンオフの夜は閉店していることが多いようです。あらかじめ予約をしておいたほうがよいでしょう。またブラーノ島を含め、ベネツィアのレストランの多くは、冬場カーニバルの時期までお休みをとる所が多いので要注意!


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