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ロンバルディアの貴婦人・ベルガモ
15 Dicembre 2014

第5回  ベルガモ近郊を訪ねて           
ユネスコ遺産 19世紀の繊維村「クレスピ・ダッダ」   


文と写真    夏海 柑


●はじめに
今回は、郊外に脚を伸ばしてみることにしましょう。イタリアはユネスコ遺産が世界で最も多い国ですが、ベルガモ市から17kmのところにも、「クレスピ・ダッダCrespi d'Adda」と呼ばれるユネスコ世界遺産があります。これは19世紀の繊維工場と工員の住居から成る「繊維村」で、ここで生産された繊維・織物はイタリア内外に輸出150年を経た今なお、過去の姿をそのまま留めており、当時の暮らしを仕事と家庭の両面から伺うことができます。

写真トップ@繊維工場と煙突
写真上左A繊維工場     写真上右B倉庫の列

●「クレスピ・ダッダ」の沿革
この繊維村は1878年、ヴァレーゼ州出身の企業家、クリストーフォロ・ベニーニョ・クレスピによって創設されました。イギリスで起こった産業革命がヨーロッパ全土に広がり、年端も行かない工員達が重労働に搾取されていたその時代、クレスピは博愛主義的理想の下、働く者が毎日の生活を満足に送ることができる生産・生活共同体を作ることにしたのです。その結果、ベルガモ県内のアッダ川流域に紡績工場の付近に住居と共同施設の完備した村ができました。創立者と川の名を取って「クレスピ・ダッダ」と呼ばれるこの村は、産業考古学上珍しい遺産として、1995年のユネスコ世界遺産保護区に指定されました。

写真上左Cクリストーフォロ・クレスピの銅像    写真上右Dクレスピの城 


村と呼ぶにふさわしく、工場と住居の他に教会、学校、共同洗濯場、運動場、公民館、公共浴場、診療所、雑貨や食料品を販売する協同組合の他、墓地に至るまですべての設備が整い、工員を始め従業員たちは文字通りゆりかごから墓場まで保護ざれていたのです。

クリストーフォロとその息子シルヴィオの2世代をかけて完成したクレスピ村の住民は、最盛期には4000人に上り、その生活水準は、当時の平均をかなり上回るものだったと言います。

●建築と村の構成
建築家エルネスト・ピロヴァーノと技師ピエトロ・ブルナーティの二人が、生産共同体としての機能を考慮しつつ設計し、50年を掛けて完成させた都市設計の傑作です。工場は村の右手にあたるアッダ河沿いに位置し、その手前にクレスピ家の住居であった中世様式の城があります。

また医者と神父の住居は、職務の重要性を強調するため、工員の住居群から離れた丘の上に立っています。

  写真上左E医者の家   写真上右F神父の家

教会、学校、劇場など教養・娯楽施設は一ヶ所にまとまっており、その後方に各々庭付きの工員向け共同住宅が整列しています。班長と管理職級の一戸建て住宅群は村の南側、外れが墓地といった構成になっています。

<学校> 1892年に設立された3階建ての建物で、幼稚園、小学校、家政学校、音楽学校として使われたほか、映画上映や演劇上演などの文化活動が行われる場でもありました。教育は全てクレスピ一族により住民に無料で提供されていたと言います。

写真上左G学校   写真上右H教会

<教会> ブラマンテの様式を用いたクレスピ家の教会は、一族の故郷ブスト・アルシツィオBusto Arsizioにある聖マリア教会の複製です。1893年に設立され、一族を始めとする村の信仰、宗教行事の中心となっていました。

<墓地> 1905年に出来た村の共同墓地は、クレスピ家の大霊廟があたかも工員達の墓標を両手に抱くかのような形に造られています。霊廟はピラミッド型で、一族のモットーであった信仰、希望、慈悲を象徴する三つの像が飾られてあります。墓標は全て同じ形のものがクレスピ家より提供されており、住民は特別な墓標を望む場合自費で用意し、囲い壁に沿って埋葬することになっていました。

●クレスピの今
現在、クレスピ・ダッダには住民450人が生活しています。従って、存在する家々は全て個人の所有のものであり、内部を見学することはできません。工場は2003年12月まで稼働していました。その後閉鎖され、見学不可となっています。かつてクレスピ一族が住んだ城も同様、個人の手に亘った後放置状態となっています。

写真上I見晴らし台から

唯一内部を見学可能なのは、村の入り口にある教会と外れにある墓地のみです(墓地に通じる大通りは、現在煙突修復中のため、遮断されています。見学を希望される方は、その手前を左に回り道して下さい)。


著者プロフィール夏海 柑(なつみ かん)
ベルガモ近郊に住み、ミラノへ電車通勤を始めて早○○年。かつては突然の運行停止や1時間以上の遅れがザラだった国鉄ベルガモ-ミラノ間も最近は努力が実り、人並みの正確さに到達したようです。お蔭様で筆者も通勤中「ユネスコ世界遺産」の景観を楽しむ余裕が出てきました。


ロンバルディアの貴婦人・ベルガモ データ
Dati
クレスピ・ダッダ
Crespi d'Adda

■インフォメーション オフィス
クレスピ・クルトゥーラCrespi Cultura

http://www.villaggiocrespi.it/
住所:Piazzale Vittorio Veneto,1  Crespi d'Adda in Capriate (BG)
Tel: 02 90987191 - Fax: 02 90964618
EMAIL: info@villaggiocrespi.it
開館時間: 毎日9:30-12:30
場所: クレスピのシンボルともいえる工場の正門を右に見て、左に直進すると広場に出ます。その左手の建物にあるのがこのオフィス。関連資料、村の模型、写真が展示されています。その他、駐車場や公衆トイレ、小さな商店もこの広場にあります。

■ミラノからの行き方
ミラノ−ベルガモを結ぶ高速道路A4(ヴェネツィア方面) を車で約30分。カプリアーテ(Capriate)出口 から2km. (公共の足は、ミラノ、ベルガモどちらからも 直通の便がないのでお勧めできません)

※ベルガモへの交通アクセスや一般的な観光情報などは、第1回 ベルガモ・アルタの魅力のデータ部分をご参照ください。



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