JAPANITALY Travel On-line

 
イタリア旅行情報サイトJAPAN-ITALY Travel On-line
ロンバルディアの貴婦人・ベルガモ
15 Novembre 2013

第1回  ベルガモ・アルタの魅力

文と写真    夏海 柑


1.山麓の街ベルガモ
ミラノ、トリノ、ヴェネツィア、コモ・・。イタリア通でなくてもこれら北イタリアの都市の名前をご存じの方は多分にいらっしゃることでしょう。一方、同じ北イタリアでも「ベルガモ」という名を耳にしたことがある方はあまりいないのではないでしょうか。

ベルガモ市は人口12万人。ロンバルディア州で第3番目に大きな都市です。地理的にはアルプス山脈の外輪、プレアルプス (Prealpi−前アルプス)と呼ばれる山脈の裾にあり、イタリア最大の商業都市ミラノと風光明美で知られるコモの中間に位置しています。ベルガモ県のあるプレアルプスは、ベルガモ・プレアルプス、またはオロビエ・アルプスと呼ばれる2500m級の山々が肩を並べており、トレッキングやスキーリゾートが盛んな土地でもあります。

  写真トップ@ベルガモ・アルタの「サンタ・マリア・マッジョーレ教会」(左)と「コッレオーニ礼拝堂」(右)
写真上左Aベルガモ・アルタの町とこれを囲む外壁  写真上右Bベルガモ・アルタのゴンビート通り

こうした山の多い地理的環境のためか、「オーソレミオの明るく陽気なイタリア人」の既成概念に当てはまらず、決して開放的とは言えませんが、自分の町に高い誇りを持っていると同時にとても親切なのがベルガモの人々と言えるでしょう。この「山影の貴婦人」とも形容できるベルガモの魅力をこれから何回かに亘ってご紹介して行きたいと思います。

●ベルガモの歴史
ベルガモはケルト民族の居住地として発達し、紀元前49年にはローマ帝国支配下にある自治体(ムニキピウム/municipio)となりました。5世紀、アッティラを族長とするフン族の襲来を受けて破壊され、その後文明の光を見たのは13世紀ミラノ公国の領地となってからでした。今日私たちが目にする姿は1425年ヴェネツィア共和国の支配下に入ってからのものです。旧市街の殆どは、その当時から1797年ナポレオン支配下チザルピーナ共和国となるまでの350年間に建てられたものなのです。

 写真上左Cベルガモ・アルタの旧庁舎「ライオンのシンボル」   写真上右D同「馬止め」


1815年、ウィーン会議でオーストリア領となるも、その半世紀後にはガリバルディ率いる千人隊(赤シャツ隊)によってイタリアに統一され、現在に至っています。ベルガモはこの時イタリア統一に大きく貢献しており、ガリバルディの千人隊参加者を最も多く出しているため、「千人隊の町(Citta’ dei Mille)」とも呼ばれています。

第1回目の今回は、一番の見どころとも言えるベルガモ・アルタの中心地をご紹介していきたいと思います。

●二つで一つ、「アルタ」と「バッサ」
ベルガモの町は、ベルガモ・アルタ(上ベルガモの意)と「ベルガモ・バッサ」(下ベルガモ)に分かれているのが特徴です。当地では簡単にチッタ・アルタ(上町)、チッタ・バッサ(下町)と呼ばれています。国鉄ベルガモ駅に降り立った時、丘の上にぽっかり浮かんで見えるのがチッタ・アルタ。その下に広がっているのがチッタ・バッサ。チッタ・アルタが観光名所の集まる旧市街であるのに対し、チッタ・バッサは銀行、企業、商工会議所、工業連盟、ショッピングストリートなどの集中する地域です。

●ベルガモ・アルタへ
ベルガモ中心地アルタには国鉄ベルガモ駅から出ているバスで簡単に行くことができます。終点で降りるも良し、途中下車してケーブルカーに乗り換えるも良し。お勧めは、バスでそのまま外壁(mura venete)からチッタ・バッサのパノラマを眺めつつ終点(Colle Aperto)まで登って行くのがお勧め。

  写真上左Eベルガモ・バッサのケーブルカー駅  写真上右:Fベルガモ・アルタからバッサに通じるケーブルカーの線路

降りたところは既に旧市街の入り口です。帰りには来た道を引き返さず、ヴェッキア広場の前のゴンビート(Gombito)通りを下ってケーブルカーでチッタ・バッサに降りると、旧市街を通しで見ることができて一石二鳥。 (交通アクセスの詳細は末尾データ参照)

2.宝石箱のようなベルガモ・アルタ
旧市街のあるチッタ・アルタは、16世紀ヴェネツィア共和国支配下の時代、隣接するミラノ共和国の領地との間に境界を築く目的で作られた、「ヴェネツィア時代の壁」と呼ばれる外壁(mura venete)で周囲を囲まれています。まるで宝石箱に収まった数あるジュエリーの如く、見どころの殆どはこの内にあると言っても過言ではありません。この旧市街を囲む外壁はルッカ、グロッセート、フェッラーラと共に、現在に至るまで完全な形を留めた数少ないものの一つです。

ベルガモの発祥地ベルガモ・アルタは、単なる観光地としてではなく、ベルガモ市民の心の拠り所として大切に保存されて来ました。今でこそ交通規制が敷かれましたが、車での進入が可能だった数年前までは、週末になるとミラノから押し寄せてくるマイカー族の無謀な振舞に閉口し、年々華やかになる土産物屋のネオンに批判が出たりしたものです。日曜日には、ベルガモ市民が家族ぐるみで散策する格好の場所となっています。

写真上GHベルガモ・アルタのヴェッキア広場

●ヴェッキア広場
ベルガモ・アルタの中心にあるのがヴェッキア広場Piazza Vecchiaで、以下に挙げる歴史建造物は全てこのヴェッキア広場の周辺に建っています。広場の中心にある噴水は1780年ヴェネツィア共和国元首コンタリーニがベルガモ市民に役立つよう寄贈したもので、「コンタリーニの噴水」と呼ばれています。

写真上Iヴェッキア広場の中心にある「コンタリーニの噴水」 

●旧市庁舎
ヴェッキア広場の正面に立っているのが旧市庁舎 Palazzo della Ragione / Palazzo del Podesta’(1183年)です。12世紀コムーネと呼ばれる自治都市の発生に伴って北イタリア一帯に立てられたこの建物は中世の「市役所」の役割を担っていました。「サン・マルコのライオン」と呼ばれるライオンのシンボルが、ベルガモが350年に亘ってヴェネツィア共和国の支配下にあったことを示しています。

写真上左J旧市庁舎   写真上右:K旧市庁舎の日時計 

ポルティコに囲まれた地面には日時計(18世紀)が刻まれている他、アーチ型の柱にはかつて馬をつないでいたのが一目で分かる馬の形の可愛らしい留め具が残っており、当時の庶民の生活を忍ぶことができます。館内にはヴェネツィア共和国時代の歴史博物館(Museo storico dell’eta’ veneta)があるほか、現在改修のため閉まっているカッラーラ美術館の作品の数々もこちらで展示されています。

●大鐘楼
広場の右手に聳えるのが市庁塔または大鐘楼Torre civica /Campanoneと呼ばれる塔です。12世紀ごろ作られたこの塔は旧市街で最高の52mを誇っています。17世紀、外敵から町を守るためチッタ・アルタへ通じる4つの門が夜10時に閉められましたが、これを市民に知らせるため、この時刻になると鐘が100回鳴らされました。この習慣は今に至るまで受け継がれており、ベルガモの守護聖人聖アレッサンドロの祝日や、市議会の開催日など様々な機会に100回の鐘を聞くことができます。

    写真上左L大鐘楼  

●サンタ・マリア・マッジョーレ教会
市庁舎のアーチをくぐりぬけると正面に現れるのが12世紀建立のサンタ・マリア・マッジョーレ教会Basilica di Santa Maria Maggioreです。正面玄関(ファサード)が無いのが特徴で、東西南北に4つの入り口が付いています。目前に現れるのは赤大理石の獅子像が両脇に控える北入口。反対側の南入口は白大理石の獅子像となっています。質素な外観に比べて内部は時代を反映したロマネスク様式やバロック様式の装飾が隅々まで施され、感動的とも言える空間を創出しています。

写真上左Mサンタ・マリア・マッジョーレ教会 圧巻の内部     写真上右N同教会南入口の白いライオン

16世紀の画家ロレンツォ・ロット(Lorenzo Lotto)の設計による寄木細工の聖歌隊席、17世紀の地元彫刻家アンドレア・ファントーニ(Andrea Fantoni)によるバロック様式の告解席、我々日本人にも親しみ深い19世紀のオペラ作曲家ガエターノ・ドニゼッティとその恩師シモーネ・マイールの墓がこのバジリカに収められています。

●コッレオーニ家の礼拝堂
ベルガモ出身のベネツィア共和国傭兵隊長バルトロメオ・コッレオーニの命で時の建築家ジョバンニ・アントニオ・アマデオによって建てられたコッレオーニ家の礼拝堂Cappella Colleoni(1476年)は、ロンバルディア州におけるルネサンス芸術の傑作とされています。バジリカを制するように右手にぴったりと張り付いた白・赤・黒の多色大理石でできたこの建物は、ドゥオーモ広場で最も目立つ存在です。コッレオーニは、この私用礼拝堂をベルガモで最良の場所に立てるため、バジリカの一部を取り壊すことも厭いませんでした。内部には最愛の娘メデアとコッレオーニ自身の墓が収められています。

●ドゥオーモ
サンタ・マリア・マッジョーレ教会に向かって左手にある白い教会がドゥオーモDuomo。キューポラは18世紀、正面のファサードは1866年のものです。15世紀に建立が始まり、200年をかけて完成しました。

  写真上左Oドゥオーモ    写真上右Pドゥオーモ内部

ベルガモの守護聖人聖アレッサンドロに捧げられており、内部には17世ヴェネツィアの画家ティエーポロ、16世紀ベルガモ出身のモローニの作品が収められています。最近大聖堂の下に原始キリスト教時代及びロマネスク時代に建てられた二つの教会跡が発見されましたが、これらは新しく併設された「大聖堂の博物館 (Museo e tesoro della Cattedrale)」にて見学可能です。

●洗礼堂
建立当初の1340年には、サンタ・マリア・マッジョーレ教会の内部にありました。八角形の洗礼堂Battisteroの側面にある壁龕の「美徳」像は一見の価値があります。内側の大理石にはキリストの生涯を表した彫刻が施されています。外から中を覗くことはできますが、通常は中に入ることができません。

●アンジェロ・マイ市立図書館 (Palazzo nuovo/Biblioteca Angelo Mai)
アンジェロ・マイ市立図書館は、旧市庁舎の向かい側にある白大理石のファサードの建物で、作られた時代が比較的新しいため、「新館(Palazzo Nuovo)」とも呼ばれます。16世紀の建築家ヴィンチェンツォ・スカラモッツィ(Vincenzo Scaramozzi)によって施工されたものの、完成したのは20世紀初頭でした。1768年フリエッティ枢機卿の寄贈書に始まった蔵書の数は現在100万冊を超え、イタリアで最も重要な図書館の一つとなっています(2013年10月現在改装中)。

写真上Qベルガモ名物ポルチーニ茸を飾った八百屋のウィンドー

学生時代、旅行でこの地を訪れた時、国鉄駅から徒歩で外壁(Mure venete)沿いの坂道を登り、ベルガモ・アルタに辿り着いた思い出があります。比較的新しい作りのチッタ・バッサを眼下にしつつ、次第に狭くなってくるチッタ・アルタの旧い小路を、息を切らしながら歩いてヴェッキア広場に着いた時の感動は、まるでタイムトラベルで中世のイタリアに飛び込んだかのようで、未だに忘れることができません。特にコッレオーニ礼拝堂の華やかな外観とアンジェロ・マイ図書館の壮大さは印象深いものでした。



著者プロフィール夏海 柑(なつみ かん)
ベルガモ近郊に住み、ミラノへ電車通勤を始めて早○○年。かつては突然の運行停止や1時間以上の遅れがザラだった国鉄ベルガモ-ミラノ間も最近は努力が実り、人並みの正確さに到達したようです。お蔭様で筆者も通勤中「ユネスコ世界遺産」の景観を楽しむ余裕が出てきました。


ロンバルディアの貴婦人・ベルガモ データ
Dati
■交通アクセス
ベルガモは、空と陸から交通の便に恵まれています。国鉄と高速道路でミラノと直結している他、ローマを始め国内15都市が空の便で結ばれています。

鉄道(ミラノ-ベルガモ間)
ベルガモは、ミラノのガリバルディ駅から南回り(トレヴィリオTreviglio経由)と北回り(カルナーテCarnate経由)の2本の鉄道で結ばれています。どちらも30分おきに発車。所用時間約 60分

ベルガモ空港(オリオ・アル セリオ空港)
空港からベルガモ市内までエアポートバスがあります。
空港−ベルガモ鉄道駅−チッタ・バッサ(Porta Nuova)−ケーブルカー駅−チッタ・アルタ
空港から20分おきに発車。所要時間30分
1日券(24時間):5ユーロ  3日券(72時間):7ユーロ  片道券(90分): 2,10ユーロ
いずれも空港からベルガモ旧市街の全区間有効(ケーブルカーを含む)。 空港到着ゲートの窓口で販売

「ベルガモ・バッサ(またはベルガモ駅)からベルガモ・アルタ(チッタ・アルタ)へ」
<市内バス>
ベルガモ駅前1番線のバス(Linea 1)でチッタ・アルタヘ。
乗車券:1,25ユーロ(75分): 全市内有効(ケーブルカーを含む)
購入先:ATB POINT(Largo Porta Nuova)、駅前(Piazzo Marconi)のチケット売り場、ATBの看板の出ている商店、チッタ・バッサのケーブルカー乗り場など。
<ケーブルカー>
ベルガモには2つのケーブルカー(funicolare)があります。一つは「チッタ・バッサからチッタ・アルタ」へ行くもので、もう一つは「チッタ・アルタからサン・ヴィジリオ」の高台へ上るものです。
Citta’ bassa →Citta’ alta :ベルガモ駅で乗ったバスをケーブルカー駅(Viale Vittorio Emanuele)で降りて乗り換えます。乗車券は市内バスのものが有効。
Citta’ alta →San Vigilio:乗車券は市内バスのものが有効。

■観光情報・サービス
インフォメーション窓口(IAT)
ベルガモ空港、駅前のUrban Center、チッタ・アルタの中心部(via Gombito-ゴンビート塔の地階)
駅前:毎日 9:00-12:30 / 14:00-17:30  空港:毎日 8:00-21:00  

観光カード(Bergamo Card)
空港から市内までの交通機関乗り放題、?
主要博物館入場無料、特別展示会割引、各種ショッピング割引
料金:24時間有効:10ユーロ、48時間:15ユーロ、72時間:20ユーロ
購入先:Web購入: www.bergamocard.itの他、各博物館の窓口
空港や駅前の観光インフォメーション窓口 (IAT)ホテル、たばこ屋など
使い方:使用開始時、バスの車内または博物館入り口にある消印印字機に挿入し開始日時を印字。
詳細: http://www.bergamocard.it

■ベルガモ・アルタの見所
旧市庁舎 Palazzo della Ragione / Palazzo del Podesta’
入場料: 6ユーロ
開館時間:10月-5月 (火-金:9:30-17:00 /土日:10:00-18:00)、6月-9月 (火-日:10:00-21:00 /土:10:00-19:00)
閉館日:月曜日

大鐘楼 Torre Civica, Campanone
入場料: 3ユーロ
公開時間:11月-3月(火-金 9:30 - 13:00、14:30 - 18.00/土日・祝日9:30 - 18:00)、4月-10月(火-金9:30 - 18:00 ; 土日・祝日9:30 - 20:00) 
閉館日: 月曜日

サンタ・マリア・マッジョーレ教会 Basilica di Santa Maria Maggiore
入場料:無料
見学時間:11月-3月 (月-土8:30-12:30; 14:30 ? 17:00/日曜祝日 9:00-12:45 及び 15:00 - 18:00)、4月-10月(月-土 8:30-12.30 及び14:30-18:00 /日曜祝日 9:00-12:45及び15:00-18:00)、(ミサ挙行中除く) 

コッレオーニ家の礼拝堂 Cappella Colleoni
入場料:無料
見学時間:3月-10月(月-日 9.00 -12.30及び14.30-18.30)、11月-2月(火-日9.00 - 12.30及び 14.00 - 16.30)/この時期のみ月曜休館

ドゥオーモ Duomo 大聖堂
入場料: 無料
見学時間:7:30-11:45/15:00-18:30 (ミサ挙行中除く)
博物館 Museo e tesoro della Cattedrale
入場料:5ユーロ
見学時間: 火-日 9:30-13:00 14:00-18:30
閉館日:月曜日




ロンバルディアの貴婦人・ベルガモ
小都市を訪ねる旅 アルキーヴィオへ このページのTOPへ HOME PAGEへ

http://www.japanitalytravel.com
©  JAPAN PLUS ITALY - MILANO 2013 All rights reserved.