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自然と歴史を誇り「今」を見据えるアマルフィ
15 Settembre 2020

第3回 
アマルフィレモン栽培をめぐる情熱    



 
竹澤由美



●高い栄養価と芳香を様々な形で楽しむ
アマルフィ海岸を代表する特産物であるレモンは「I.G.P. (Indicazione Geografica Protetta = 保護地域指定表示)」に指定されています。紡錘形のレモンであることから「スフサート・アマルフィターノ Sfustao Amalfitano」と呼ばれており、明るい黄色のレモンの皮にエッセンシャルオイルを多く配合しており、ビタミンCも豊富です。無農薬栽培されている為、栄養価と芳香効果の高い皮を使用できるので、お菓子の香りづけに欠かせないピールした皮はもちろん、薄くスライスしたレモンにオリーブオイル、塩、イタリアンパセリで味付けしたサラダも、苦みや強すぎる酸味を感じることなく楽しめます。

写真トップ:@レモン王として知られるルイージ・アチェートさん
写真下:Aドーム型のレモンケーキ「デリッツィア・アル・リモーネ」  

レモンの皮と砂糖そしてアルコールだけで作られている食後酒のリモンチェッロはもちろんですが、レモンスパゲッティや、牛肉のレモンソースソテー、レモンクリームでコーティングされたドーム型のケーキ デリッツィア・アル・リモーネなど、レモンを堪能できるレシピがこちらアマルフィ海岸にはたくさんあり、多くの観光客に喜ばれております。

●レモン栽培農業の苦労の絶えない現実
昨今では、レモン柄のワンピースや水着も様々なブティックに並ぶほど、アマルフィ海岸の爽やかさと美しさを象徴するレモンですが、レモン栽培の背後には農業に携わる方々の苦労が絶えない現実があります。

 写真下:Bアマルフィ大聖堂の背後にもレモン畑が広がる

切り立った険しい勾配の斜面に石を積み重ねて作られた畑でのレモン栽培は、過酷な栽培条件のため作り手は減る一方。機械を使った設備投資は、世界遺産登録されているこちらアマルフィ海岸では文化遺産保護局の厳しいガイドラインなどもあり想像以上に難しく、景観を損なわないように支柱を立てて、空中にロープを張り、運搬機をつるし収穫されたレモンを運ぶこともありますが、基本的には肩に担いで輸送しています。

無農薬栽培故に生産数にも限りがある為利益高は比較的低く、大雨または逆に水不足になると、石積みされた壁が崩れ土砂崩れを引き起こすリスクがある為段々畑の維持にも費用がかかるなど、レモン農家を経営する方々の懸命な努力が強いられています。

大量のレモンを消費する製菓店や、リモンチェッロ販売店などは、レモン畑を実際に経営し品質保証とコスト削減に努め、広い敷地を持つホテルでは景観促進にも役立つレモン畑を維持しながらお客様に振舞っているところも多くあります。つまりレモン畑だけで生計を立てている方々は世代交代の問題もあり転換期に立たされているのかもしれません。                 

●アマルフィの「レモン王」、アチェートさんのご家族
幼少期から80代の今まで耐えることなくアマルフィでレモン栽培に情熱を注ぐアマルフィのレモン王として地元民に知られるルイージ・アチェートさん家族をご紹介いたします。50代の息子さんが二人いらっしゃるルイージさんですが、長男のマルコさんはアマルフィのメインストリート沿いにリモンチェッロを含む自家製レモン加工品を販売。

写真下:C斜面多い畑で収穫するルイージさん

そして、次男のサルヴァトーレさんは10年前にご自身の税理士事務所をたたみ、親であるルイージさんのレモン畑をより活性化し、レモン畑維持費用も生み出したい、という願いから「アマルフィレモンエクスペリエンス」というレモンを軸にした体験型レモンツアーを観光客に提案したところ、5つ星ホテルのお客様も虜にするほど様々な客層から評判が良く、今ではサルヴァトーレさんの成功に続けと、レモンツアーと評した観光スポットが他にも出てきているほどです。

サルヴァトーレさんのレモンツアーではレモン畑を散歩しながらアマルフィレモンの説明はもちろんですが、先述したようなレモン畑維持の過酷さや現状を包み隠さず伝える姿勢が良い面だけを話されるのとは違い魅力的にうつります。レモン栽培に関わる方々の情熱とアマルフィレモンの特徴を説明してもらった後は、レモン畑に囲まれたテラスで自家製レモンケーキとレモンジュースが振る舞われます。

 写真下:Dレモン畑に囲まれたテラスで休憩

サルヴァトーレさんの奥様は台所でテキパキと働き、飼い犬やルイージさんの奥様の姿も見られ、便利を追求できない中でも家族が団結して自然と人類が受け継いでくれたアマルフィレモンを軸にした事業を営む姿は現代人の心を打つ気がしてなりません。

著者プロフィール
竹澤由美  Takezawa Yumi
アマルフィ海岸でのウェディングと観光コーディネート会社Yumi Takezawa & C S.A.S.代表。
B&B A casa dei nonni オーナー。 ロンドンで知り合ったアマルフィ海岸ラヴェッロのホテルルフォロ四代目との結婚を機に2004年渡伊。 2013年よりアマルフィ市の日本との文化交流コーディネーターを務める。 2017年NHK出版、旅するイタリア語 シリーズ「足を延ばして」コラム執筆
Instagram:https://www.instagram.com/yumitakezawa/

 




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