JAPAN-ITALY Travel On-Line

イタリア旅行情報サイトJAPAN-ITALY Travel On-line
アブルッツオのまちめぐり 
15 Novembre 2019

第6回
サフランのまち, ナヴェッリ

  
文:保坂優子 

ラクイラ県ナヴェッリNavelliは「イタリアの最も美しい村」のひとつで、標高約750m、州都であるラクイラから南東34kmに位置し、ナヴェッリ高原を見下ろす丘の上に立つ中世からの旧市街とチビタレテンガCivitaretengaという集落からなる人口500人ほどの小さな村です。ナヴェッリの代名詞とも言えるのが高品質なサフランの存在で、イタリアを代表する産地のひとつです。

トップ写真:@特産サフラン、手作業での仕分け作業  写真下左:Aナヴェッリの全景   写真下右:Bナヴェッリの旧市街

●ナヴェッリのサフランとDOP認証
最初にサフランがこの地に伝えられたのは13世紀頃、スペインから戻ってきたナヴェッリの修道士によるとされています。気候が適していたこともあり、質の良いサフランが安定的に供給できるようになると、ミラノやヴェネツィアなどの商人たちに高価で取引される様になりました。以降、多くの戦乱や災害もくぐり抜けて来たサフランですが、1970年代の高度成長期に需要の低下から市場価格が崩壊し、生産存続の危機が訪れます。

写真下左:Cナヴェッリ高原    写真下右:D収穫時期のサフラン 

そこで地域の人たちは生産者組合を作り、生産者の権利を守りながら質の良いサフランが作り続けられるよう環境を整えることで、その流れに歯止めをかけます。さらに2005年には「Zafferano dell’Aquila」の名称でDOP(注)認証を取得し、現在も国内有数の高い品質を誇っています。 注:DOP(Denominazione di Origine Protetta):イタリアにおける原産地名称保護制度

●全てを手作業で行うサフランづくり
クロッカスの一種であるサフランは8月頃に球根を植え、薄紫色の花が咲く10月下旬から11月初旬に収穫します。花が開いてしまわない様、早朝、まだ日が昇る前に畑へ出て、ひとつずつ花の部分だけを手で摘み取ります。収穫されてカゴいっぱいになったサフランの花は家族や近所の人たちが囲むテーブルに広げられ、丁寧に雌しべ、雄しべ、花びらに分ける作業へと続きます。(写真@)

写真下左:Eザルの上で乾燥させる  写真下右:FDOPと生産者組合の認証マークが付いたサフラン「Zafferano dell’Aquila」 

一般にサフランと呼ばれ香辛料や薬として使われるのは赤い雌しべの部分ですが、黄色い雄しべは染料に、花びらもジャムなどに活用されます。集められた雌しべは目の細かいザルの様な容器に並べ、オークやアーモンドといった匂いや煙の少ない木の炭を用いて乾燥させると完成です。1kg分のサフランを作るのに約200,000個の花が必要だと言うので高価になるのもうなずけます。

●サフランは郷土料理や薬としても活用
ナヴェッリの人々にとってもサフランは高級品ですが、遠くに住む友人や家族が集まった時などにはサフランを使った郷土料理でもてなします。代表的なのは同じくナヴェッリの特産品でスローフード協会の認定も受けているひよこ豆とサフランを使ったパスタ。パスタは「サニェッティ」と呼ばれる細い短冊状の手打ちパスタを使います。にんにく、ローズマリー、サフランで香りを付けたひよこ豆にパスタを加え、全体がサフランの美しい黄金色に染まると完成です。ひよこ豆は豊かさの象徴でもあるので見た目にも贅沢な一皿です。

 写真下左:Gサフランとひよこ豆を使った郷土料理  写真下右:Hサフランを煎じて飲む

また、元々は薬として伝わったサフランは、今でも体調を整えるために煎じて飲んだり、塗り薬や湿布に使ったりと万能薬として重宝されています。  

●併せて訪れたい近隣の村
ナヴェッリ周辺には併せて訪れたい歴史のある小さな村が点在しています。カペストラーノCapestranoもそのひとつ。丘の上に聳えるピッコローミニ城を中心に住居が広がる中世の山岳都市で、一般開放されている城内からはティリーノ渓谷はじめ、360度のパノラマが楽しめます。水質の良いティリーノ川流域にあるブッシ・スル・ティリーノBussi sul Tirinoも近年はカヌーなど水上でのアクティビティが充実し始め、人気スポットになりつつあります。

写真下:I近隣のカペストラーノの全景
写真上左:Jブッシ・スル・ティリーノの水辺   写真上右:Kボミナーコにある「聖ペッレグリーノ礼拝堂」のフレスコ画

ロマネスク建築に関心のある人にとっては、前述のカペストラーノ郊外にある聖ピエトロ・オラトリウム修道院やボミナーコBominacoにある「聖ペッレグリーノ礼拝堂l'oratorio di San Pellegrino」などもおすすめです。いずれも自然の中にひっそりと佇む質素な建築ですが、内部に残る建築当時のフレスコ画は一見の価値があります。

筆者プロフィール
保坂優子(ほさかゆうこ)
大阪在住の都市計画コンサルタント。2002年、イタリアの暮らしにどっぷり浸りたいとアブルッツォ州に1年間留学。以降、毎年アブルッツォで休暇を過ごしている。2009年のラクイラ地震を機にアブルッツォ州紹介サイト「Abruzzo piu’」 http://abruzzo.jp/index.htmlを立ち上げる。2016年4月から「アブルッツォ通信」の共同発行者として、独自イベントの開催やPRツールの作成、コラムの寄稿などアブルッツォ州のプロモーションにも携わる。
http://abruzzo-news.blog.jp/

<写真クレジット>
写真A:Adamico| Dreamstime
写真I:Stefano Valeri | Dreamstime
その他は筆者撮影



アブルッツオのまちめぐり データ  
 

■ナヴェッリ Navelli  (ラクイラ県 Provincia dell'Aquila)       

■交通アクセス
<バス>
ローマからバスで(ラクイラ経由)約2時間半から3時間半
ペスカーラ中央駅からバスで約1時間
http://www.tuabruzzo.it/

http://www.japanitalytravel.com
© JAPAN PLUS ITALY - MILANO 2013 All rights reserved