
シチリアの東南に位置するシラクーサの町の歴史は古く、紀元前8世紀にギリシャ人が植民都市として建設。10世紀にイスラム勢力にシチリア島を占領されるまでは、パレルモ以前の島の中心都市とされていた。2006年に古代古墳堰パンタリカと共にユネスコ世界遺産に登録された。
数学者アルキメデスが数々の発明と発見を、メロスが翔り、マレーナが微笑むシラクーサ。
町は新市街の考古学地区と旧市街の歴史的地区に分かれ、2本の橋で結ばれている。旧市街は全長1,7kmの小島でウズラの形をしていることからOrtigiaオルティージャと名づけられたという。
オルティージャ島に足を踏み入れると、目の前には紀元前6世紀に建設された、シチリアに現存する最古のドリス式神殿アポロ神殿Tempio di Apollo が。現在は一部しか残っていないが、歴史の古さを感じさせる。
この神殿を前にして左側に、月〜土曜の午前中、野菜や魚の市場メルカートMercatoが出る。地元の人でおおいに賑わう場所だ。
島のメイン通りであるマッテオッティ通りCorso Matteottiを進むと、突き当たりは女神ディアナに捧げられた噴水があるアルキメデス広場Piazza Archimedeだ。
そして、広場の右奥の小道を曲がるとオルティージャ観光のメインともいえる、ドゥオーモ広場Piazza Duomoにたどり着く。シラクーサの守護聖人サンタ・ルチアの小指が奉られているドゥオーモDuomo は、紀元前5世紀前半に建造された古代ドリス式アテナ神殿を7世紀にキリスト教教会に転用したもの。中に入ると2500年前からある円柱の力強さと教会の厳かさの独特な調和が感じられる。
ドゥオーモの隣のヴェルメクシオ館Palazzo Vermexioは現在市役所として使われているが、紀元前5世紀のイオニア式神殿跡が発見されている。12月13日のサンタ・ルチアのお祭りのみに使われる馬車も展示されている。
このドゥオーモ広場は昼も夜もとても美しく、バールでシラクーサの人々を見物をしながらひと休みするには格好の場所だ。
写真トップ:空から見たオルティージャ島 下左:市民の憩いの場・ドゥオーモ広場、右:ギリシア劇場で上演される古代劇
広場からサンタ・ルチア修道院教会の脇のピケラーリ通りVia P.Picheraliを通り抜けると海沿いへ。その脇には、真水にしか生息しないパピルスが生い茂るアレトゥーザの泉 Fonte Aretusaがある。ギリシャ神話アルテミス女神に仕える妖精アレトゥーザは河神アルフェイオスの熱愛から逃れる為、水に姿を変えシラクーサのこの泉までたどり着く。しかし、アルフェイオスも自身を水に変え、思いを遂げてしまった…という伝説が。
豪華クルーザが並ぶ海岸線を通り、ポルタ・マリーナPorta Marinaを右折すると島内を半周し、アポロ神殿前に到着。橋を渡りウンベルト一世通りCorso UmbertoTを直進し新市街に向かおう。
カターニア通りVia Cataniaを右折し、新市街のメイン通りであるジェローネ通りCorso Geloneを上りきると、左手にあるのが考古学公園Parco Archeologicoだ。
まずはシチリア最大のギリシャ劇場Teatro Grecoから訪れたい。紀元前5世紀中頃には存在し、現存するのは紀元前3世紀のもの。前方にはシラクーサの市街とイオニア海が見渡せる。毎年5月中旬から6月末まで、今でもこの劇場で古代ギリシャ劇が連続上演されている。
その横にディオニュソスの耳Orecchio di Dionisioと呼ばれる天国の石切り場Latomia del Paradisoがある。高さ23m、奥行き65mの巨大な石切り場は、建造用の大理石を切り出した跡がこの様な形で残っているもの。僭主ディオニュソスは音響の良いことから、この石切り場を囚人や捕虜の牢獄として利用していたという。その話を聞き、滞在中のカラヴァッジョがディオニュソスの耳と名付けた。
この僭主ディオニュソスだが、太宰治の「走れメロス」でメロスに「走れ!!」と命令した王は彼がモデルとされている。
入り口を出た左側には、3、4世紀に建築されたといわれる古代ローマ劇場Anfiteatro romano。周囲を緑に囲まれ、劇場全貌はみにくいが、素朴で偉大。当時はギリシャ劇場、ローマ劇場共に使われていたことから、シラクーサは演劇のメッカとされていた。
考古学公園を背にテオクリト通りViale Teocrito を直進すると、右手に涙の聖母教会Santuario della Madonna delle Lacrime、左手にパオロ・オルシ州立考古学博物館Museo Archeologico Regionale Paolo Orsi がある。ヨーロッパ最大規模を誇る考古学博物館で、シラクーサを中心にシチリア各地からの出土品が時代ごとに展示され、見ごたえがある。
これでシラクーサの主な見所は回ったことになる。ポルタ・マリーナから見える夕日、夜にライトアップされたオルティージャ島の景色は、一日の観光の疲れを癒してくれるだろう。
(※注)
カラヴァッジョの「聖ルチアの埋葬」、アントネッロ・メッシーナの「受胎告知」などを所有する州立美術館Galleria Regionaleは現在修復工事の為閉館中。開館予定未定。
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案内人プロフィール
秋草 奈緒子(あきくさ なおこ)
神奈川県出身。10代の頃からバックパッカーとして世界各地をを周遊。旅行会社に勤務しながら習い事としてイタリア語を始める。数年のイタリア通いの後、語学留学を決意。留学中のシラクーサで、腹膜炎にかかり緊急手術、入院。この事が転機となり、気がつくと数少ないシラクーサ在住日本人の仲間入りに。
2007年7月シチリア料理と和食のお店Dining Bar la Cambusa(Via delle carceri vecchie 12, Tel: +39 0931465707, www.lacambusa-siracusa.it)をオープン。オーナー兼料理人としても奮闘中。入院生活で知り合った夫+愛犬アントニオ(ダルメシアン11歳)と暮す。
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シラクーサ・データ
■アクセス
<空港>
ローマ、ミラノ経由にてカターニア空港へ。カターニア空港からはINTERBUS(http://www.interbus.it)のバスが出ている。直通で約1時間20分(4.5ユーロ)。
<鉄道>
夜行電車が毎日2本運行。フィレンツェから約15時間、ローマから約12時間。 ローマからはインテルシティICが日中も運行しており、所要時間は約10時間。
シチリア島内のカターニアからは普通列車やICで1時間余り。(http://www.trenitalia.com)
<バス>
パレルモから日に3本(約3時間15分、14ユーロ)。カターニア市内からは頻繁に運行している(約1時間20分、4.5ユーロ)。共にINTERBUSが運行。(http://www.interbus.it)
※2007年7月から、シラクーサのバスターミナルがオルティージャの郵便局前から鉄道駅の近くウンベルト一世通りCorso Umberto 1 に変更。
バスターミナルとオルティージャ島の間は無料のシャトルバスがつないでいる。オルティージャ島内も無料のミニバスが運行(毎15分〜30分)。ちなみにバスターミナルとオルティージャ島間は徒歩で約15分。
なお、オルティージャ島からギリシア劇場までは、無料シャトルを利用してバスターミナルで降り、そこから徒歩で10分ほど。又はASTの市バスで「テアトログレコTeatro Greco」前下車。
■ツーリストインフォーメーション
-A.P.T. 聖ジョバンニ教会前 月〜金 8:30-18:30、土 9:00-13:00/15:00-18:30、日 9:00-13:00
Via S. Sebastiano 43 Tel: 093-481200 URL: http://www.apt-siracusa.it
-A.A.T. アルキメデス広場近く 月〜木 8:30-13:45/15:00-17:30、金 8:30-13:45 Via Maestranza 33 Tel: 0931-464255
■その他
ドゥオーモ Duomo
Piazza Duomo
開館時間: 月〜土 9:00-19:00、日・祝 8:00-19:30
ギリシャ劇場 Teatro Greco
Parco Archeologico della Neapolis
Tel: 0931-21243
開館時間: (夏季) 9:00-18:00、(冬季) 9:00-15:00
入場料: 6ユーロ、 考古学博物館共通券 10ユーロ
パオロ・オルシ州立考古学博物館 Museo Archeologico Regionale Paolo Orsi
Viale Teocrito 66
Tel: 0931-464022
開館時間: 火〜土 9:00-18:00、日・祝 9:00-13:00、月曜休館
入場料: 6ユーロ、ギリシャ劇場共通券 10ユーロ
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